映画「わたしは生きていける」は、核爆発テロと第3次世界大戦勃発のイギリスが舞台

  • 2015.12.02 Wednesday
  • 19:43




「わたしは生きていける」は、ケヴィン・マクドナルド監督作品。メグ・ローゾフのベストセラー小説を基にした独特な青春ドラマです。テロリストによる核爆発テロと第3次世界大戦の勃発によって混乱するイギリスが舞台です。16歳の少女が必死のサバイバルをいとことの恋愛を交えながら物語は進みます。

なんといっても、現代のイギリスが舞台で核爆発テロと第3次世界大戦の始まりという設定が、あるリアリティを持つ時代に生きているのだなあと、あらためて実感しました。冷戦時代に核戦争の恐怖を感じていましたが、またそんな時代に入ろうとしているのかもしれません。

少年少女たちが、そんな状況の中で、懸命に生き延び、希望をつかもうとする姿が痛々しかったです。それほど出来の良い作品ではありませんが、胸が締め付けられました。

ドキュメンタリー映画「リヴァイアサン」、人間の視点ではない映像に言葉を失います

  • 2015.12.02 Wednesday
  • 16:13




「リヴァイアサン」は、ハーバード大学の感覚民族誌学研究所に在籍する映像作家、ルーシァン・キャステーヌ=テイラーとヴェレナ・パラヴェルが共同監督したドキュメンタリー作品です。アメリカ合衆国・フランス・イギリス合作。2012年ロカルノ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞しています。

アメリカのマサチューセッツ州ニューベッドフォード港から海に出た、巨大底びき網漁船アテーナ号の作業を、これまであり得なかったアングルの映像で記録しています。

GoProという耐久性のある防水機能付きの超小型カメラ11台を、船のあらゆるところに固定し撮影しました。GoProはサーフィン好きの創業者ニック・ウッドマンが、2004年にサーフィンで迫力のある写真が撮れるファッショナブルで丈夫なカメラとして登場しました。今では、幅6センチの小さなボディで超広角4K撮影が可能です。

水揚げされ解体される魚たち、水面に飛び込んで魚を採る鳥たちの群れ、荒れ狂う海、巨大なクレーンモーターなどが、圧倒的な迫力で映像化されています。人間の視点ではない映像に、言葉を失います。これまでのドキュメンタリーは、人間の視点からのドキュメンタリーであったことに、あらためて気づかされます。

じつは、このドキュメンリーは、最初は普通のカメラで撮影していました。しかしカメラを海に落としてしまい、仕方なくGoProで撮影を始めたのが、全編GoProで撮影するきっかけでした。ドキュメンタリー映画の歴史は、機材の変化とともに変化して来たことを思い出します




テイラー監督は「『リヴァイアサン』は、GoProと呼ばれる小型カメラで撮影されているが、このカメラのおかげで、観客が人が魚や船になるような作品を撮ることができた。人間が自然の中でいかに小さな存在か思い知ることのできる作品になった」と話しています。意味を与えられる前の生々しい映像を浴び続けます。

この作品と、リュミエール兄弟の120年前の映画「汽車の到着」を比較する評論家が目立ちます。「汽車の到着」は、列車が向かってくる映像ですが、驚いた観客が逃げたという話しが伝わっています。初めての映像体験のすごさを示す話しとして有名です。『リヴァイアサン』の映像の新しさは、「汽車の到着」に匹敵すると言えるかもしれません。それほどの迫力です。

映像だけではなく、怒濤のような音も極めて大切です。音が映像を引き立たせます。敬愛するスタン・ブラッケージの作品は無音なのに音楽を感じさせる「目で見る音楽」でした。「リヴァイアサン」は「耳で聴く映像」です。

監督たちは、「観客が「見たことのないものを見た」、「あることは知っていたけれど、感じたことがなかった」という感覚をもつこと、そうしたことをわたしたちはめざしています。世界の新たな側面を開示したい」と話しています。「リヴァイアサン」は、まさにそのような体験をもたらす作品です



「低開発の記憶−メモリアス―」と「セルヒオの手記−ユートピアからの亡命」

  • 2015.12.02 Wednesday
  • 15:47




「低開発の記憶−メモリアス―」。1968年の作品ですが、キューバ革命直後の状況が、紋切り型でなく描かれています。カストロが社会主義宣言を行なった1961年、妻や両親が亡命を決める中、キューバにとどまり、「低開発」な国と呼ばれたキューバを冷ややかに見つめるセルヒオが主人公です。

「苺とチョコレート」で有名な、キューバのトマス・グティエレス・アレア監督が、キューバ革命後のハバナを背景に、ブルジョア青年の孤独を追ったドラマです。中に登場するドキュメンタリー映像も貴重です。

「低開発の記憶」の続編とも言うべき「セルヒオの手記−ユートピアからの亡命」は、ミゲル・コユーラ監督作品。キューバ映画祭での上映が、日本初上映。容赦のない表現によって、セルヒオの苦悩が描かれていきます。

革命後のキューバで検閲を受けた小説家セルヒオは、アメリカへ亡命します。ニューヨークの大学教員となり、キューバ革命について講義する彼は、革命への憧れを抱く女子学生とのスキャンダルによって、大学を追われます。アメリカの居心地の悪さを体験します。

キューバにもアメリカにも居場所がないセルヒオの存在が、様々な女性たちとの関わりやおびただしい映像コラージュ、キューバの回想シーンなどを通じて重層的に描かれています。痛々しさが心にしみます。「社会変革の可能性」という大きなテーマが、等身大の生き様として表現されています。人類の未来を問う力作でした。

アニメ「チコとリタ」とドキュメンタリー「カンデアルの奇跡」

  • 2015.12.02 Wednesday
  • 14:39




2014年のキューバ映画祭FINALで最初に観た作品は、2010年制作の「チコとリタ」。1940年代末のキューバが舞台です。フェルナンド・トルエバ監督が、スペインを代表するアーティストのハビエル・マリスカルとタッグを組みました。

ジャズ・ピアニストの青年チコと歌手リタの物語なので、キューバ音楽に溢れたアニメです。音楽監修と劇中のチコのピアノ演奏は、キューバ音楽の黄金時代のベボ・バルデスです。

大きな会場は、結構な観客でうまりました。ファン層の厚さを感じます。

一方、フェルナンド・トルエバ監督の「カンデアルの奇跡」は、2004年のドキュメンタリー作品です。85歳のキューバ人ピアニスト、ベボ・バルデスが念願だったブラジルのバイーアを訪れます。自らの音楽とアフリカ系黒人としてのルーツを探っていきます。

ブラジル人ミュージシャンとのセッションが素晴らしい。若い人たちと楽しそうに演奏する姿が印象的です。世代を超えたつながり。元気がわいてくる、とても高揚感のある作品です。

ゴヤ賞で、最優秀ドキュメンタリー映画賞と最優秀オリジナル歌曲賞の二つの賞を受賞しています。

キューバ映画祭 CUBA FILM FESTIVAL 2014

  • 2015.12.02 Wednesday
  • 14:19




札幌初の「キューバ映画祭」は、2009年1月に開催されました。2010年以降は、9月8日を「キューバの日」とし、映画を通じてキューバの魅力を発信してきましたが、2014年のイベントでしめくくりとすることにしました。FINALにふさわしいキューバの素晴らしい音楽や文化、歴史や社会を伝える評価の高い作品をそろえました。

2009年に初めて開催したのは、何と1月末と真冬の時期。凍てついた季節に、熱い映画祭が開催されました。会場は、閉館してしまった白石のディノスシネマでした。

1月31日に太田昌国さんの講演「わが身を吹き抜けたキューバ革命—世界戦後史の中の革命キューバ50年—」が行われました。太田さんは、キューバは、遠くコロンブス到達の日々から、世界史上に重大な意味をもって登場すると話し、「ヨーロッパ近代は、新大陸などからの資源略奪、奴隷制によって可能になった」と強調し、コロンブスがキューバに上陸した1492年からの歴史の中でキューバ革命の意味をとらえました。

札幌でのキューバ映画祭FINALとなったCUBA FILM FESTIVAL 2014は、2014年9月6日、7日に札幌プラザ2・5で行われました。札幌初上映の「カンデアルの奇跡」「セルヒオの手記−ユートピアからの亡命−」のほか、「チコとリタ」「低開発の記憶−メモリアス−」を上映しました。

新千歳空港国際アニメーション映画祭2014・爆音上映「AKIRA」

  • 2015.12.02 Wednesday
  • 14:03




新千歳空港国際アニメーション映画祭2014で行われた道内初の試みである「爆音上映」は、予想以上の手応えでした。大友克洋監督作品「AKIRA」が、新しいかたちで登場しました。ノイズも楽しむために、あえて35瀬侫ぅ襯爐鮖藩僂靴討い泙后あのフイルムの質感。1988年の試写会の映像を思い出しました。

2008年から爆音映画祭を続けている樋口泰人プロデューサーは「聴覚と視覚はつながっている。聴覚が変わることで視覚も変化する」と話していました。コンサート用の音響施設を使っていましたが、音が大きいというだけではありません。全身で音を受け止めることで、作品全体が変わりました。経験したことのない感覚を味わいました。

「AKIRA」は1982年から1990年にかけて、監督がコミックとして連載しました。アニメは東京は崩壊する場面から始まります。そして2019年の「ネオ東京」が舞台となります。2020年に東京でオリンピックが開催されるという予言は見事に当たっています。

アニメ「AKIRA」は、とにかく桁違いの作品でした。総セル画枚数約15万枚。制作費は当時の日本のアニメとしては破格の10億円をかけています。最後にはファンからも資金を調達しました。

音楽を担当した芸能山城組の独創的なサウンドに、あらためて鳥肌が立ちました。民族楽器や音声を駆使した楽曲は、すごい迫力で迫ってきました。芸能山城組は、バリ島のケチャ、ガムラン音楽体験などを通じ「音は耳だけではなく身体全体で感じている」というポリシーで、今も音楽活動を続けています。ですから「AKIRA」は「爆音上映」に、とてもふさわしい作品だったと言えます。

「爆音上映」は、劇場という場で映画を体験する、新しいかたちです。



初めて開かれた新千歳空港国際アニメーション映画祭2014

  • 2015.12.02 Wednesday
  • 13:39




「新千歳空港国際アニメーション映画祭2014」が、2014年10月31日から11月3日まで、新千歳空港ターミナルビルで初めて開かれました。

新千歳空港は、通過する空港から、楽しむ空港に変わろうとしています。これまでも「アニメフェア」などを実施してきましたが、今回は国際アニメ映画祭というかたちで企画しました。多くの関心を集め、3万人以上が訪れたようです。初開催としては大成功でしょう。

新千歳空港ターミナルビル国内線2階センタープラザでは、ポップカルチャーフェアが開かれました。初音ミク関連イベントやTVアニメ「七つの大罪」特大バルーン<豚の帽子>亭などが人気を集めていましたが、私にとっては劇場版魔法少女まどか☆マギカの関連展示が嬉しかったです。お菓子の魔女の大きなゲートバルーンが、目に飛び込んできます。その口から入ると銃を構えたマミさんの等身大フィギュアがありました。きれいなラッピングカーもあり、たくさん写真を撮りました。

メイン会場の、新千歳空港ターミナルビル4Fの映画館じゃがポックルシアターでは、映画祭の柱である短編アニメーションコンペティションが行われていました。世界46の国と地域から715作品の応募があり、45作品のノミネート作品が上映されました。たくさんの監督がゲストとして参加していたのに、驚きました。約50人の制作関係者が訪れたといいます





私は、コンペ・プログラムの2と3を観ました。エンターテインメントというよりも、作家性重視の作品が目立ちました。独創的な表現や手作り感あふれる作品が多いように感じました。TVアニメ関連の企画が多い中で、コンペはアート性が重要視されていたと思います。

グランプリを受賞したのは、ポーランドのトマーシュ・ポパクル監督作品「ジーゲノート」。監督自身の海や魚に囲まれて育った思春期がユニークな絵柄で綴られていました。バランスの良い表現が評価されたのでしょう。半魚人のような主人公が、強烈な印象を残します。

新人賞と観客賞を受賞したのは、アメリカのショーン・バッケリュー監督の「アナザー」。熊が父親を殺して家族とともに暮らすという物語が、不思議な雰囲気の中で進みます。独特の絵柄とともに奇妙な質感が残りました。

ピノチェト独裁政権の是非を問う国民投票を描く映画「NO」

  • 2015.12.02 Wednesday
  • 13:11




「NO」は、パブロ・ラライン監督による2012年のチリの映画です。1988年のチリを舞台に、ピノチェト独裁政権の是非を問う国民投票のキャンペーン活動を描いています。

15年間、軍事政権を続けていたピノチェト将軍は、独裁を非難する国際的な批判を受けて政権の信任を問う国民投票を実施することにします。政権賛成派と反対派は、深夜に1日15分間だけテレビCMを放送することが認められます。左派連合のウルティアは、広告マンで長年の友人であるレネに「No」のためのCMを作ってほしいと依頼します。

レネはチリの未来を描いた明るいCMを制作しますが、「独裁に苦しむ人々の心情を無視している」と左派連合の人たちから批判されます。左派連合の人たちは勝つはずがないと考え、独裁を批判するCMを作ろうとします。しかし、レネは国民投票に勝つため、「独裁後の未来」を描くCMを作り続けます。明るいCMは、チリの人々の心をつかみます。




国民投票当日は、陸軍と警察が動き緊迫しますが、国営放送が「No」の優勢を伝え、軍事政権の幹部が「国民投票は『No』の勝利」と断言して、ピノチェト政権の敗北が確実となります。

レネをガエル・ガルシア・ベルナルがひょうひょうと演じています。あいかわらず魅力的です。

当時の記録映像との違和感をなくすため、撮影には1980年代のカメラやテープを使用しています。「Yes」「No」両陣営のCMや、レネが制作したテレビドラマ『美女と勇者たち』のCMなど、全体の30%が記録映像で構成されています。ドキュメンタリーのような印象を受けます。

映画「ニンフォマニアック」は、心の奥底に届く鋭い刃物のよう

  • 2015.12.02 Wednesday
  • 11:14




ラース・フォン・トリアー監督の「ニンフォマニアック」。思い出したくないほど、深い傷を受けました。久しぶりです。なぜ、こんなに苦しく憂鬱なのでしょう。

私が男であることによって、打ちのめされた作品はたくさんありましたが、今回は別格です。前半がコメディタッチなので、すっかり油断してしまいましたが、トリアー監督の「鬱三部作」の最終作なのでした。

ある冬の夕暮れどき、年配の独身男であるセリグマンは、怪我をして倒れていた中年女性ジョーを見つけ、自宅に連れて介抱します。何があったのか質問したセリグマンに、ジョーは幼い頃から抱いている性への強い関心と、多くの男たちとの物語を語り始めます。

読書家のセリグマンは、ジョーの物語を、本で読んだことと関連付けます。哲学、宗教、釣り、音楽などに詳しいです。セリグマンとジョーの掛け合いで、物語は転がります。初体験の場面が、フィボナッチ数列という数学と関連づけられる意外性からして、笑わずには入られません




「ニンフォマニアック」という題名通り、強い性的欲求を抱えた女性の半生を、2部作4時間で描いています。若いジョーをステイシー・マーティンが、中年期をシャルロット・ゲンズブールが演じています。二人は細身であるほかは全然似ていませんが、トリアー監督らしい配役ですね。ステイシー・マーティンは、この作品で一躍注目されました。セリグマンを演じたステラン・スカルスガルドは長年のキャリアを感じさせます。

有名俳優が、意外な役で登場します。シャイア・ラブーフは、ジョーの初恋の人。ユマ・サーマンが奥さん役で登場し強烈な修羅場を演じます。驚きの配役です。いつもながら音楽も独特のセンスを感じさせます。最初からヘビメタですから。ステッペンウルフの懐かしい「ワイルドで行こう」も良かったです。

トリアー監督の作品は、憂鬱な展開が多いのですが、「ニンフォマニアック」は、知的なコメディのように、ウイットに富み、含蓄があり、驚くほど面白いです。「ダンサー・イン・ザ・ダーク」をはじめ、トリアー監督は見事なストーリーテラーです。

最後に、驚くべきどんでん返しがあります。トリアー監督は、精緻に創り上げた作品を最後に粉々に砕きました。第1部のコメディも、第2部のシリアスさも、全て計算づくだったのです。私の心も砕かれました。傷は一生残るかもしれません。トリアー監督は悪くありません。私が弱いだけです。

新たなミュージカル仕立てで既存のミュージカルを批判し、絶望と希望を融合した「ダンサー・イン・ザ・ダーク」の時も、ラストシーンに凍り付きました。それは悲劇であるとともに、救済でもある奇跡的なラストでした。「ニンフォマニアック」のラストは、それとは全く違う衝撃でした。性的な表現の過激さなど比較になりません。本当に心の奥底に届く鋭い刃物のようでした。




周防正行監督念願の企画が実現した映画「舞妓はレディ」

  • 2015.12.02 Wednesday
  • 09:50




「舞妓はレディ」は、周防正行監督作品です。脚本も書いています。監督が、『shall we ダンス?』の前に撮る予定だったという念願の企画が実現しました。舞妓が1人しかいないのが悩みのお茶屋が舞台です。おかみを演じる富司純子の自然さが、楽しめます。京都の撮影所で育った女優さんですね。

見終わってみれば、見事にまとまったミュージカルでした。しかし最初は、違和感いっぱいで、どうなっちゃうのかと、ハラハラしました。ギャグっぽい出だしからして、かなり奇抜です。お茶屋に「舞妓になりたい」と飛び込んで来た春子が、突然歌いだす場面では、何が起こるのかとドキドキしました。しかし、次第に盛り上がり、最後はコミカルでゴージャスなステージで幕を閉じます。最高のハッピーエンドです。

主人公・春子を演じた上白石萌音(かみしらいし・もね)は、最初は地味な印象ですが、映画の中で確実に成長し、魅力的になっていきます。あか抜けない女の子がかわいい舞妓になっていく物語にぴったりでした。ラストシーンのはつらつとした踊りは絶品です。

津軽弁と鹿児島弁が混ざった春子の不思議ななまりも、面白いです。この作品は、京都弁をはじめ、さまざまな方言の魅力を楽しむ側面もあります。

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