北海道移住を命じられた淡路・稲田家の武士とその家族の苦闘を描く映画「北の零年」

  • 2015.12.31 Thursday
  • 13:19




行定勲監督の「北の零年」(2004年)は、明治維新によって、故郷を追われ、北海道移住を命じられた淡路・稲田家の武士とその家族の苦闘を描く上映時間168分の大作です。吉永小百合111本目の出演作としても話題になりました。

ストーリーに粗さがあるものの、観終わって、確かな感動が残ります。ただし北海道開拓の過酷さをリアルに再現した群像ドラマと呼ぶことには抵抗があります。むしろ気高い女性たちへの賛歌を、寓話的に歌い上げていると言った方がいいでしょう。

脚本は「デビルマン」の那須真知子。今回も、一歩間違えば大駄作になりかねない奇妙な脚本でした。しかし、それを厚みのある映像にした行定勲監督の力量は、相当なものです。歴史大作にありがちな、図式的な単純化を避け、錯綜し奥行きのある作品に仕上げました。物語の背景にアイヌ民族の懐の深さ、知恵の深さを感じさせるのも、素晴らしいです。

さすが大女優・吉永小百合には、凛とした存在感があります。顔のアップがなければ年令は気になりません。それにしても渡辺謙が、こんな汚れ役を演じるとは思いませんでした。彼が演じたことで、単なる悪役には見えませんでした。志乃の娘・多恵の役は、少女時代が大後寿々花、思春期が石原さとみ。二人ともなかなか良い演技を見せました。そして、迫力あるクライマックスでの馬たちの大熱演も書き留めておきます。

エンドロールには、夕張でのロケを切望していた故・中田鉄治・元夕張市長の名前が流れ、別の深い感慨にも包まれました。エンドロール全体に、ロケ地で協力してくれた人たちへの感謝の思いがあふれていました。



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