映画「なくもんか」、笑うもんかと思っていても
- 2015.12.21 Monday
- 10:09
「なくもんか」は、宮藤官九郎の脚本、水田伸生監督の作品です。テンポよく、小ネタを繰り出して飽きさせません。笑うもんかと思っていても、笑わされてしまいます。くやしい。
東京下町。ハムカツで人気の「デリカの山ちゃん」の2代目店主・祐太は、親に捨てられ、弟と生き別れています。貧乏と生き別れの兄弟をテーマにするのは、とてもずるいですが、まあ許しましょう。
それにしても、究極のお人よしの主人公の屈折した心情をコミカルに表現できるのは、阿部サダヲしかいないでしょう。その意味では、まさに阿部サダヲの映画なのですが、脇役も面白いです。特に、祐太の母親役の鈴木砂羽。とてもエネルギッシュな母親ですが、通行人を楳図かずおと間違えて脇見運転し交通事故死してしまいます。
認知症のおばあちゃん役のいしだあゆみも、なかなかの芸を見せます。祐太の妻・徹子役の竹内結子は、確かにうまいですが、いまひとつテンポに乗り切れていませんでした。
作品は、どたばたしつつも、家族愛、兄弟愛、そしてエコロジーと、丸く収まっています。その点が、宮藤官九郎の作品としては、やや物足りません。