映画「検察側の罪人」、トゲが刺さったままのような感覚

  • 2018.11.24 Saturday
  • 17:09


 

 

映画「検察側の罪人」は、雫井脩介(しずくい・しゅうすけ)の小説の映画化。司法制度の問題点を描いたミステリーです。最上検事役の木村拓哉と、新人の沖野検事役の二宮和也がダブル主演し、暴力的なまでの演技バトルを見せます。終始ダークな雰囲気がただよっています。

 

ただ、ストーリーとは直接関係のない、不思議な場面がたびたび登場します。葬儀会場などでの奇妙な舞踏、シュールな創作料理、異様なバーなどです。さらに、ギリシャ悲劇やシェイクスピアの「マクベス」を再現しようとしたような仕掛けがちりばめられています。

 

ストーリーとうまくつながらない第二次世界大戦の「インパール作戦」も、気になりました。インパール作戦は、食料の補給ができない状況で、大量の死傷者が出た悲劇的戦闘でした。撤退する日本の兵士たちは、飢えやマラリアに苦しみ、戦友の死体の肉を食べることで生き延びようとした者たちも多かったといいます。兵士たちが進んだ道には、大量の日本軍の死体が横たわり、「白骨街道」と呼ばれました。

 

戦死者の数が膨大になってくると、軍の上層部は自分に都合の良いストーリーを作り上げました。責任の所在は曖昧になり、戦後になっても悲劇が引き起こされた責任追及は行われていません。

 

最上検事は、自分を白骨街道を歩む兵士とイメージしていましたが、現実には「インパール作戦」の軍の上層部のような責任逃れを行なって、物語は終わります。

 

一方、最上の友人の政治家は、日本が戦争の方向に向かっていると訴えますが、政治的に追い詰められて自殺します。インパール作戦という無謀な作戦、その責任が問われなかった戦後のあり方は、映画の中ではつき詰められません。

 

映画としては、後半にかけてストーリーがずさんになり、完成度が高いとは言えません。しかし、見終わった後もトゲが刺さったままのような感覚が残りました。不思議な映画です。


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