ビレ・アウグスト監督「愛と精霊の家」、ベルトルッチ監督「リトル・ブッタ」
- 2016.02.13 Saturday
- 19:20
イザベル・アジェンデ「精霊たちの家」を原作とした「愛と精霊の家」(ビレ・アウグスト監督)は、予想以上に手応えがありました。スケ−ルの大きなスト−リ−をうまくまとめ、映像も冴えわたっています。
ただ、激動の20世紀を生き抜いた女性3代の物語ですから、2時間19分という時間はあまりにも短い。テンポが早すぎて「印象が散漫」「余韻がない 」「急ぎすぎ」という批評が目立ちました。しかし、失敗作とはいえないと思います。
ベルトルッチ監督の「リトル・ブッタ」は、子供だましかと思っていましたが、極めて具体的な説得力がありました。映像の力です。
一人のチベット僧が女性、西洋人など3人に転生するという着想も、微妙なズレを孕んだ輪廻転生譚として興味深いです。これまでのベルトルッチは歴史のなかでの人間の葛藤を描きつづけてきました。この映画は、葛藤なき静けさが支配しています。