映画「マグノリア」、12人の男女の一日をタペストリーのように精緻に編み上げる

  • 2016.01.22 Friday
  • 16:36




ポール・トーマス・アンダーソン監督・脚本の「マグノリア」(1999年。アメリカ映画)は、ロバート・アルトマン監督の大傑作「ショート・カッツ」を連想させるアンサンプル映画です。12人の男女の一日をタペストリーのように精緻に編み上げていきます。

それぞれの立場は過酷で、追い詰められていきますが、みつめる監督のまなざしは不思議に温かい。偶然についての歴史的なエピソードを並べた巧みなプロローグから、手際の良い人物紹介、そして登場人物全員が「Wise Up」の「もうとまらない」という歌詞を口ずさむシーンの素晴らしさはどうでしょう。

心地よい肩すかしを楽しみながら、3時間7分を過ごすことができます。「マグノリア」という題から、あからさまな華を求めてはいけません。ラストの控えめな微笑み以外は。

私にとっての本当の驚きは、想像を絶したクライマックスシーン(アイデアは浮かんだとしても、実際にやってしまうとは。すべてを洗い流す土砂降りの雨。It rains frogs.)ではありません。教祖役のトム・クルーズの名演技です。「アイズ・ワイド・シャット」(スタンリー・キューブリック監督)でさえ、枠を超えられなかった彼が、群像劇で花開くとは、驚きです。12人の個性的な俳優たちの中でも、ひときわ存在感のある青年を演じ、強烈な印象を残しました。



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