映画「バトル・ロワイアル」、日本社会を考えるリアリティある思考実験

  • 2016.01.19 Tuesday
  • 09:26




「バトル・ロワイアル」(2000年)は、国会で表現の法的規制の発言まで飛び出した深作欣二監督70歳、60本目の作品です。ヤクザ映画ならどんなに残虐な殺し合いでも良くて、中学生ならR15指定になるのは何故でしょう。

ストーリーは荒唐無稽のようでいて日本社会を考える思考実験としては、リアリティがあります。問われているのは、大人社会のあり方です。冒頭「この国はすっかりダメになりました」と言われますが、登場する子供たちは、皆生き生きとした人間的な感情にあふれています。不良も含めて、こうした子供たちを恐れている大人たちのひよわさと狂気に慄然とします。

そして級友を殺さなければ殺されるという限界状況に置かれた15歳の中学生が、どんな選択をするのか。さまざまな道が模索されています。中でも、なごやかな雰囲気だった少女たちが、一瞬にして殺し合うシーンの異様な迫力は忘れがたい。殺りくに満ちてはいますが、スピード感にあふれ、清清しい。甘さを排し時代を突き抜ける力に満ちた傑作です。

生徒たちは、深作欣二のテンションに良くついてきていました。群像劇としての厚味もあります。ビートたけしの絶妙さは評価するとして、藤原達也、前田亜季らも難しい役をこなしていました。しかし、全員が主役という方がいいでしょう。

自ら死を選ぶ者、迷いつつ逃げ道を探す者たちの中にあって、決然と殺しつづけることを選んだ相馬光子役柴咲コウの熱演が、とりわけ光りました。殺しっぷリも、殺されっぷリもすごい。他者への憎悪を抱え込んだ幼年期は描かれていませんが、その不幸さが手に取るように伝わってきます。

2000年作品。日本映画。103分。配給=東映。監督=深作欣二。原作=高見広春。脚本=深作健太。製作=田中敏雄。撮影=柳島克己。音楽=天野正道。美術=部谷京子。編集=阿部浩英。七原秋也=藤原達也、中川典子=前田亜季、川田章吾= 山本太郎、キタノ=ビートたけし、桐山和雄=安藤政信、相馬光子=柴咲コウ、千草貴子=栗山千明



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