映画「前田建設ファンタジー営業部」、夢物語に終わらないかも

  • 2020.02.27 Thursday
  • 10:04



ダム、トンネルなど大規模プロジェクトを施工してきた前田建設工業株式会社は、「アニメやゲームに登場する建造物を実際に作ったらどうなるか?」を本格的に検証するWEBコンテンツ「前田建設ファンタジー営業部」を公開しています。そんなユニークな試みが、実写映画化されました。「ハンサム★スーツ」「賭ケグルイ」の英勉(はなぶさ・つとむ)監督がメガホンをとりました。

 

バブル崩壊後の2003年。前田建設の広報グループ長は、「アニメ『マジンガーZ』の出撃シーンに登場する地下格納庫を現状の技術と材料で建設したらどうなるのか?」を検証するWEB連載を提案します。

 

乗り気でなかった広報グループの若手社員たちも、プロジェクトを進めるうちに、何事にも真剣に向き合う技術者たちの姿勢に打たれていきます。ロケに実際の建設現場を使っているだけに、迫力満点です。

 

最初は、大げさな演技が気になりましたが、実現に向けて技術者たちが力を合わせていく熱い展開に引き込まれていきました。「アベンジャーズ」を意識したオープニング映像が、笑えました。

 

架空の事業に真剣に取り組む姿勢は、とても魅力的です。そして、それは夢物語に終わらないかもしれません。今後、現実世界とツインになるデジタル化した3D空間・ミラーワールドが土木の世界にも浸透してくれば、ミラーワールドでの斬新な事業を真剣に検討する時代が来るかもしれません。その試みが現実世界にも生かされていく時代には、建設業界もサービス業として他の産業と一体化していくことになるのでしょう。


電子書籍
http://www.amzn.to/18ddM5v




映画「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」、監督自身の人生も重ねられて

  • 2020.02.27 Thursday
  • 09:47



テリー・ギリアム監督が映画化を試みるたびに、不運が重なり、製作中止の憂き目に遭い、なんと9回も頓挫してきた企画を、構想から30年を経て、やっと完成させました。ある意味で奇跡的な作品です。緻密さと奔放さが融合しています。

>

 

仕事への情熱を失ってしまったCM監督のトビーは、スペインの田舎で撮影中に謎の男からDVDを渡されます。そのDVDは、なんと、トビーが10年前の学生時代に監督し、賞を取った「ドン・キホーテを殺した男」でした。

 

映画の舞台の村が近くにあることを知ったトビーは、現地を訪れます。しかし、村の人々はトビーの映画のせいですっかり変わり果てていました。ドン・キホーテを演じた靴職人の老人ハビエルは、今も自分を本物の騎士だと信じ込んでいます。ドン・キホーテと信じる老人と若手監督の奇妙な旅が始まります。

 

「ドン・キホーテ」は、スペインの作家ミゲル・デ・セルバンテスの小説。 騎士道物語の読み過ぎで現実と物語の区別がつかなくなった下級貴族が、「ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ」と名乗って冒険の旅に出かける物語です。1605年に前編と、1615年に後編が出版されました。

 

「ドン・キホーテ」のテーマである、物語という虚構と現実との区別がつかなくなる、虚構が現実を支配していくという近代人の戸惑いは、フェイクニュースに翻弄される現代にも繋がっています。「ドン・キホーテ」は、虚構と現実の関係を、本と読者の関係に関連づけて展開されます。それが、今でも人気を失わない魅力でしょう。

 

映画は、さらにそれを包み込むという複雑な入れ子構造になっています。入れ子構造の中で、人々は、自分がなんであるかがわからなくなり、迷宮に迷い込みます。

 

映画は、キューブリック監督ほか、様々な映画監督へのオマージュにも満ちています。しかしフェリーニ監督のテイストが色濃かった点は意外でした。

 

若くして企画しながら、長い年月をかけて完成したために、映画に翻弄され続けたギリアム監督自身の人生も重ねられているように感じました。まるで遺作のような余韻が残りました。


電子書籍
http://www.amzn.to/18ddM5v




映画「ジョジョ・ラビット」、ビートルズで始まりボウイで終わる

  • 2020.02.27 Thursday
  • 09:24



 

タイカ・ワイティティ監督が、第2次世界大戦時末期のドイツに生きる人びとの姿を、ユーモアを交えて斬新な切り口で描いています。第44回トロント国際映画祭で最高賞の観客賞を受賞しました。確かに愛すべき作品です。

 

10歳のジョジョは、空想上の友だちアドルフの助けを借りながら、青少年集団「ヒトラーユーゲント」で、立派な兵士になろうとしています。しかし、訓練でウサギを殺すことができなかったジョジョは、教官から「ジョジョ・ラビット」というあだ名をつけられてしまいます。

 

母親とふたりで暮らすジョジョは、ある日家の隠し部屋に人がいることに気づきます。母親が匿っていたユダヤ人の少女でした。少女への複雑な思いを胸に、ジョジョの葛藤の日々が始まります。

 

主人公ジョジョ役のローマン・グリフィン・デイビスが、とにかく元気でハツラツとしています。ジョジョの母親役はスカーレット・ヨハンソン。柔軟で芯の強い母親を、見事に演じています。本当に上手いと思いました。俳優でもあるワイティティ監督は、アドルフ役を軽妙に演じました。いい味を出していました。

 

今年のアカデミー賞で脚色賞を受賞したワイティティ監督は、授賞式会場でのインタビューで、MacBookのキーボードの酷さをネタにして笑いを取ったことでも有名です。

 

映画の冒頭では、ヒトラーに熱狂するドイツ国民の記録映像に、ビートルズの「抱きしめたい」をかぶせるという、大胆な演出に驚きました。そして、ラストシーンは、なんとデヴィッド・ボウイです。「ヒーローズ」のドイツ語版が流れます。なんというぶっ飛んだ結末でしょう。


電子書籍
http://www.amzn.to/18ddM5v




映画「パラサイト 半地下の家族」得体の知れない作品

  • 2020.01.25 Saturday
  • 19:39



ポン・ジュノ監督の新作です。2019年カンヌ国際映画祭で最高賞にあたるパルムドールを受賞。1月5日発表のアメリカ・ゴールデン・グローブ賞では韓国映画初の外国語映画賞を受賞しました。

 

半地下の住宅で暮らす全員失業中のキム一家。息子のギウは大学受験に失敗し浪人中です。ギウの友人で名門ソウル大学に通うミニョクが「僕が海外留学する間、僕の代わりに家庭教師をしてほしい」とギウに頼むところから物語は始まります。

 

ギウは、IT企業の社長パク・ドンイクの高校2年生の娘ダヘを教えるため豪邸を訪れます。パクの妻ヨンギョの信頼を得たギウは、妹ギジョンをパクの幼い息子ダソンの美術の家庭教師に推薦します。更に父ギテクを運転手に、母チョンスクを家政婦にと、ドンイク社長一家の「パラサイト」になります。

 

金持ち家族を騙して底辺の家族全員が職を得るという、ある意味コミカルで痛快な展開です。しかし、その後、想像を超えた怒涛の物語が繰り広げられます。

 

観終わると、なんとも言えない感覚に包まれ、心が落ち着かなくなっています。韓国の格差社会を皮肉っただけではない、得体の知れない作品を体験しました。


電子書籍
http://www.amzn.to/18ddM5v




映画「ラストレター」岩井俊二監督の新作

  • 2020.01.25 Saturday
  • 19:37



岩井俊二監督の新作。岩井監督の出身地・宮城県で撮影されました。ドローン撮影を多用し透明な空気感が漂います。


映画は、葬儀の場面から始まります。岸辺野裕里は、姉の未咲の葬儀で未咲の娘・鮎美と再会します。

 

未咲宛に届いていた同窓会案内をもとに、裕里は未咲の同窓会で姉の死を伝えようとしますが、同級生たちに未咲本人と間違われ、真実を打ち明けられずに退席します。しかし片思いの初恋の相手で、小説家になっていた乙坂鏡史郎と再会し、二人は文通を始めます。

 

岩井俊二監督が、また手紙を中心にした映画を作るとは思いませんでした。手紙という手段が生み出す、思わぬ行き違いが重なりますが、前半は岩井監督らしい鋭い切り口が感じられませんでした。

 

しかし、後半に入ると思わぬ展開の連続で、岩井ワールドが楽しめます。前半に仕掛けられた伏線が作品を叙情豊かに彩ります。広瀬すずの演技を、初めてうまいと感じました。そして、ラストシーンの美しさは、まさに岩井作品でした。


電子書籍
http://www.amzn.to/18ddM5v




calendar

S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930   
<< September 2020 >>

selected entries

categories

archives

recent comment

recommend

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM