2017年に放送を終えたTVアニメの独断ベスト5
- 2018.02.11 Sunday
- 18:18
2017年に放送を終えたTVアニメの独断ベスト5です。
5位★「正解するカド」
オリジナルのフルCG作品です。村田和也総監督。シリーズ構成は、小説家の野崎まど。東映アニメーションとしては、初めてTVシリーズです。
東映アニメーションは、2014年劇場公開の「楽園追放」で、新しいフルCGアニメのノウハウを蓄積しました。「正解するカド」では、その蓄積を生かしつつ、再び前人未踏の表現に挑戦しています。
突然異方から現れたヤハクィ・ザシュニナは、人類にさまざまな装置を渡し、急速な変化を求めます。次々に驚くべき装置を提供します。
それだけでも想像を超えた展開でしたが、9話では「びっくり仰天」と表現するのがぴったりな超展開を見せます。本格SFとして始まりながら、それをぶちこわすストーリー展開でした。
テクノロジーの急速な進化で、社会全体が大きく変わりつつある現代にふさわしい作品だと思います。
4位★「昭和元禄落語心中-助六再び篇-」
TVアニメ「昭和元禄落語心中」の2期。心をわしづかみにされました。1期にも増してメリハリのある素晴らしい作品です。
見ているうちに自然に「落語心中」の世界に引き込まれていきます。1期で堪能した落語の語りの面白さを見せつつ、落語をめぐる核心テーマにも触れています。さらに深みと凄みがあります。
毎回、落語の語りのうまさにしびれました。それは、声優のうまさにしびれているということでもあります。最終回では、作品全体を壊しかねない衝撃的な真相が明かされます。賛否が分かれると思いますが、いずれにしても長く心に残る作品です。
3位★「プリンセスプリンシパル」
19世紀、「壁」で分割された架空のロンドンを舞台に、アルビオン共和国の情報組織「コントロール」に所属し、スパイとして活躍する5人の少女を描いています。
クールという表現がぴったりなアニメ。オリジナルストーリーです。少女たちの作画は、とても可愛いのですが、物語は過酷なハードボイルドです。濃密でメリハリのあるストーリー展開が楽しめます。
監督は、橘正紀。梶浦由記の奥行きのある音楽が作品を彩ります。
各回で時間が前後する複雑な構成。基本、一話完結ですが、少しずつ登場人物の過去が明らかになっていく内容です。各回はそれぞれ違った趣向のストーリーです。交わされる会話もウイットに富み、センスの良さが光ります。優れた短編を、巧みに編み上げたような仕上がり。何度でも楽しめる内容です。
2位★「メイドインアビス」
つくしあきひとのコミック「メイドインアビス」のTVアニメ化です。可愛い絵柄ですが、グロテスクなほど過酷な物語、ダークファンタジーです。
12歳の探窟家見習いの少女リコと、謎のロボット少年レグを中心に物語は進みます。アビスへの憧れが人一倍強いリコは、母ライザのような偉大な探窟家になることを夢見ていました。二人は、行方不明の母を探しに、底知れぬ巨大な縦穴・アビスの深層を目指します。
監督は、小島正幸。アニメ制作は、キネマシトラス。
丹念に書き込まれた背景美術も、大きな魅力です。美術監督は増山修。
音楽は、オーストラリアの作曲家ケビン・ペンキン。イギリスの王立音楽大学を卒業しています。25歳です。アビスの世界観にぴったりの拡がりのある楽曲です。
1位★「宝石の国」。
切なく、美しいアニメです。回を追うごとに物語は魅力を増し、3DCG表現はきらめきを増していきます。毎回、その表現の広がりを堪能しました。
監督は「ラブライブ!」で有名な京極尚彦。コミック版も斬新ですが、アニメ版の「宝石の国」は、これまで観たことのない質感でした。
アニメ制作は、オレンジ。オレンジは、2004年5月1日に設立したCGアニメ制作会社です。多くの作品に携わってきましたが、単独元請けは「宝石の国」が初めてです。
アクションシーンが得意なことは、「エヴァンゲリオン」で実証済みですが、それにしても自在なカメラワークには驚かされます。
毎回安定した作画ですが、回を追うごとに表現の進化が実感できます。3DCGアニメ表現の新しい可能性を切り開きました。まさに新地平です。
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