kinematopia90.12(3)『ボイス・オブ・ムーン』『式部物語』
- 2016.05.06 Friday
- 10:34
「フェリーニの新作『ボイス・オブ・ムーン』は、『インテルビスタ』に似たとりとめのない作品。徹底的に自由な悪ふざけの連続でありながら、フェリーニ的なお祭りと人間の哀しみが描かれている」「シーンごとの意味を理解しようとしても、難しい。むしろつ かみどころのなさにこそ、この映画の持ち味がある。管理・規格化された現代への抗いなのかもしれない」「月はいつでも懐かしい」
「利休がなぜ死ななければならなかったのかを、キリキリ緊張した展開で魅せた『千利休本覚坊遺文』があまりにも良かったので、ひそかに期待していた新作『式部物語』(熊井啓監督)には、ほとんど失望した。宗教と性と愛という切実なテーマを示しながら、結局は未消化のままで終わった」
「主人公が精神障害を起こす原因を、原作の炭鉱事故から一般の事故に変えてしまっ たことで、歴史的な重みを失った」「ただ、野火をはじめ炎のシーンの美しさだけは認めていい。さすが熊井啓監督だ」