kinematopia92.12(4)『青春デンデケデケデケ』

  • 2016.04.01 Friday
  • 14:08


 

 

 

 

 

「『青春デンデケデケデケ』(大林宣彦監督)は、ベンチャーズに『電気的啓示』を受けた高校生がロックバンドを結成する物語。このいかにも60年代的なドラマを、大林宣彦監督ならではの感覚で描いていく。16ミリカメラ、自然光撮影、スピーディなカット割 等々の技術的な基盤を生かし、みずみずしい作品になっている」

 

 

 


「大林監督は、77年の当時としては斬新な手法の美少女ホラー『ハウス』以来、15年間に22本の映画を撮っている。ほとんど毎年作品を発表している。日本では近年類例がない。大林監督は、信じがたいほど初心を貫き、観る人を魅了し続けている」


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kinematopia92.12(3)『ジャック・ドゥミの少年期』

  • 2016.04.01 Friday
  • 14:04


 

 

 

 

 

「『ジャック・ドゥミの少年期』は、白黒とカラーを絶妙に組み合わせた作品。カトリーヌ・ドヌーブの美しさと哀愁に満ちた心地よい音楽があふれていた名作『シュルブールの雨傘』で名高いドゥミ監督の姿も映像に焼き付けている。監督は妻のアニエス・ヴァルダ。死を前にした夫を撮っていながら、映画監督としての距離をしっかりと保ち、けっして感情に流されていない。ドゥミを通じて描かれるフランス現代史の側面もある」

 

 

 


「ドゥミの映画を愛する者にとっての喜びは、少年時代の体験が映画のなかに結実していく瞬間の映像。ともに監督である夫妻だからこそなしえた手法だ」「時折挿入されるドゥミの老いた手、顔、眼の大写しと、波のシーンがヴァルダの万感の思いを表現していた」


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kinematopia92.12(2)『ヨーロッパ』

  • 2016.04.01 Friday
  • 14:02


 

 

 

 

 

「『ヨーロッパ』(ラース・フォン・トリアー監督)は、秀抜な技術力を見せつけられる作品。黒の質感が良い。そして白黒とカラーの巧みな調合も成功している」「感情移入を許さない知的な遊戯、映像にしみ込んだ悪意は、一見グリーナウェイを連想させるが、グリーナウェイがイギリスの文化土壌を生かしているのに対し、トリアーは明確な根を持たないように見える。しかし、デンマークという、いわばヨーロッパの『周辺』で育ったことは『ヨーロッパ』という概念の幻想性を体感する位置にいたと言える」

 

 

 


「しかし彼の寓意は、のっぺりとして重く、容易に読み解くことができない。迷宮へと誘う催眠術的なナレーションから心地よく目覚めることは、はなはだ難しい」


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kinematopia92.12(1)『ブレードランナー最終版』

  • 2016.04.01 Friday
  • 14:01


 

 

 

 

 

「『ブレードランナー最終版』(リドリー・スコット監督)が公開された。82年に劇場 公開された時は、さんざんに酷評されたが、徐々に評価を高めていった稀な映画。今回の 最終版は、従来のラストシーン一分あまりをカットしたほか、ユニコーンのシーンなどを 若干加えただけで、大きな変更はない。ただ、隠喩性が増したように思う」「それでも、 劇場は立ち見が出るほどの盛況だった」「札幌公開当時、私は網走にいたので、劇場で観 ることができず、長い間悔やんできた。今回劇場で出会うことができて、ビデオでは味わ えない質感、細部の美しさをたんのうした」

 

 

 


「ディックの原作とは独立して、『ブレードランナー』は映像としての独創的な近未来ビ ジョンを打ち出した。80年代の文化に、これほど大きな影響を与えた映画は、ちょっと 見当たらない。そして、中心テーマだった人間としてのアイデンティティの問題は、90 年代に入り、ますます切実な問題として浮上してきている」


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kinematopia92.11(4)『愛という名の疑惑』『リーサル・ウェポン3』

  • 2016.04.01 Friday
  • 10:26



 

「フィル・ジョアノー監督の『愛という名の疑惑』は、ヒッチコックの『めまい』への熱いオマージュに満ちていた。大ヒットした『氷の微笑』は粗さが目立つ『サイコ』映画だ が、『愛という名の疑惑』の方が数段優れたサスペンスだ。脚本の奥の深さは『愛と死の間で』をしのぐ」

「精神分析医役のリチャード・ギアは、ふところの広い演技。患者の姉役のキム・ベイシ ンガーは、シャロン・ストーン以上の悪女を完璧に演じた」「これほど魅力的なキムは初めてだった。妹役のユマ・サーマンも『ヘンリー&ジューン 私が愛した男と女』(フィリップ・カウフマン監督)に続き神秘的な存在感を十二分に発散した」

 
「同時上映の『リーサル・ウェポン3』は、相変わらず快適なテンポで笑わせハラハラさせてくれる。スポーツ観戦のように楽しむなら、最高に爽快な映画だろう。リチャード・ドナー監督は、ツボを知っている職人だ」


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kinematopia92.11(3)『いつかギラギラする日』『豚と天国』

  • 2016.04.01 Friday
  • 10:25


 

「深作欣二監督の『いつかギラギラする日』は、1992年の邦画を代表する作品。『寝盗られ宗介』も傑作だったが、私は深作監督の圧倒的なパワーを評価したい。全編がハードロ ックのように凄まじい迫力に満ちている。しかも深作らしく人間を描くことを忘れない。 皆熱演しているが、荻野目慶子の完全に切れた演技は特筆に値する」「最後に、冷静な中年を生き延びさせた点に、深作のメッセージを感じたよ」

 


「ペルー=スペイン合作映画『豚と天国』(フランシスコ・ロンパルディ監督)は、ペルーの1988年超インフレを背景にした悲劇を、コメディタッチで描いたもの。ラテンアメリカの映画らしいアクの強いブラック・ユーモアが利いている。そして、デビッド・リンチ 的シュールな亀裂が取り入れられ、作品の魅力を倍加している。けっこう深刻なテーマだったが、ラストで笑った後ろの席のおねえさんは偉いと思った」


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kinematopia92.11(2)『エロチックな関係』

  • 2016.04.01 Friday
  • 10:05


 

 

 

 

 

「『エロチックな関係』は、若松孝二監督とは思えない。冒頭で有名なクレッソン首相が登場し『こんな映画は観ないで帰れ』と言った言葉が正しかったと、観終わって納得する」

 


「ビートたけし、宮沢りえ、内田裕也。現在、これだけ見事なキャスティングは、 ちょっと考えられない。しかし3人の魅力だけに頼ったため、下品な展開になった。内田裕也の脚本は、60年代の紋切り型。『魚からダイオキシン』は東京都知事選出馬という現実感があったからこそ、まだ観れたが、この作品は悲しいくらいに虚ろだ」


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kinematopia92.11(1)『寝盗られ宗介』

  • 2016.04.01 Friday
  • 09:59


 

 

 

 

 

「つかこうへい原作、若松孝二監督の『寝盗られ宗介』には、心底笑わせてもらった。キーワードは『前向きのマゾヒズム』。旅芸人一座が繰り広げるドタバタ劇に、演じること=生きることのペーソスが滲む」

 


「主演の宗介役・原田芳雄がムチャクチャにいい。クライマックスで女装し絶唱する『愛の讃歌』は、なんてソウルフルなんだろう。原田の骨っぽさとたおやかさの妙は、絶品。男と駆け落ちを繰り返すレイコ役の藤谷美和子もすごく色っぽい。『女殺油地獄』での好演を、さらに上回る熱演をみせた。宗介から腎臓をもらう筧利夫の演技力も光った」


 「そして、ラストをバッチリ決めてくれた宗介の父親役の玉川良一。彼の実際の訃報が映画と二重写しになって強烈な印象を残す。締めくくりは『蒲田行進曲』(深作欣二監督)のように秀逸だ」


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kinematopia92.10(3)『仕立て屋の恋』『柔らかい殻』

  • 2016.03.31 Thursday
  • 22:43




「『仕立て屋の恋』(パトリス・ルコント監督)は、80分の作品。『美しき諍い女』の3分の1の長さだが、ピシッと決まっていて味わい深い」「私のように気の弱い男にとっては『死ぬほどせつない』悲恋物語だよ」「闇の中、向かいのアパートの女性をのぞき続 けるイール。その視線はストイックですらある。見つめられるアリスは恋人をかばうためイールに近づき罪を負わせようとする。それぞれの愛と孤独が際立つ。そして、少女の視線が厚みのある余韻を残す」

「フィリップ・リドリー監督の初長編『柔らかい殻』は、1950年代のアメリカという時代の奥行きと緊張感を生かし、少年時代の残酷さと純粋さを描いた作品。数々のアイデ アの秀抜さと映像の独特な美しさに圧倒される」

「巨大なカエルが破裂する冒頭のシーン、骨に囲まれたドルフィンの家、主人公セスの父親の壮絶な焼身自殺、原爆で被曝した子供の写真を含む3枚の写真の絶妙さ、水爆実験に兵士として参加し衰弱していく兄と、兄の衰えが吸血鬼のためだと考えるセス。基底に核の問題があり、同性愛差別を含めて登場する人物が皆切実な悩みを抱えている」「幻想と現実の切れ目の無さのリアリティなど、魅力を上げていけばきりがない」「1992年のベスト1最有力候補だ」



kinematopia92.10(2)『美しき諍い女』

  • 2016.03.31 Thursday
  • 22:42




「4時間の大作『美しき諍い女』(ジャック・リヴェット監督)は、絵画創造の真髄に迫る作品。絵画を描く過程で変化していく人間関係が鋭く緻密に映像化される。深く的確な配置。91年カンヌ映画祭グランプリは当然だ」

「画家とモデルは創造のためにむきだしの格闘を展開し、至福を共有する。エマニュエル ・ベアールの好演が光る。画家はモデルに無理なポーズを要求し『肉体を解体』しようとする。身体の解体といえば、92年4月28日に死去したフランシス・ベーコンの絵画を連想してしまうが、映画はあくまでも肉体を超えて内面の本質に迫るという一昔前の美意識に支えられている」

「絶対美という確信が存在しているが故に、観客は画家の眼になり、手になって恐ろしい創作の過程に参加することができる」



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