「ふたりのベロニカ」は、くるおしいまでに切ない気持ちにさせる映画
- 2016.03.02 Wednesday
- 19:35
「ふたりのベロニカ」(1991年、フランス・ポーランド合作)は、クシシュトフ・キェシロフスキ監督の作品です。1991年の第44回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出され、女優賞(イレーヌ・ジャコブ)・国際映画批評家連盟 (FIPRESCI) 賞を受賞しました。
同じ名前、容姿、才能を持ち、別々の国に生まれた「ふたりのベロニカ」の運命を描いています。ポーランドのベロニカは、指の怪我でピアニストの道をあきらめ、アマチュア合唱団で歌っています。フランスのベロニカは、小学校の音楽教師をしています。ある日、小学校に巡業に来た人形劇の悲しい物語に心奪われます。
くるおしいまでに切ない気持ちにさせる映画です。世界のどこかにいるもう一人の自分が死に、その死者に救われて生きている。センチメンタルなテーマですが、監督の繊細な技法で情感豊かに仕上がっています。イレーヌ・ジャコブの豊穣な感情を振りまく熱演は特筆ものです。