映画「キャリアガールズ」、ブロンテ姉妹で始まりブロンテ姉妹で終わる
- 2016.01.31 Sunday
- 23:37
マイク・リー監督の「キャリアガールズ」(1997年)は、「秘密と嘘」ほどの厚みはないものの、女性2人の生き様がくっきりと浮かび上がる佳品です。
ハンナ役のカトリン・カートリッジは、苛立ちながら毒舌で周囲を煙にまいていた学生時代と、落ち着きを身につけた現在を巧みに演じ分けています。「ネイキッド」のソフィーと「ビフォア・ザ・レイン」のアンを連想します。「奇跡の海」のドド役を含め、屈折した思いを抱えながら生きる弱さと強さのバランスがとてもいい。
物語は、ブロンテ姉妹で始まりブロンテ姉妹で終わる。男性の軽薄さと不器用さに対して、女性のしなやかさとしぶとさが印象に残ります。傷(ブラント)をもじって「ブランテ姉妹」と乾杯する中華レストランでの二人の会話が、胸を刺す。「女を人間として受け入れる男を求めてさまよっている」(アニー)「たいていの男はどうしようもなく弱い。どうしても、そこを許せない。だから私は孤独」(ハンナ)。男性の私は、リッキーのように眼をそらしたくなりました。