2016年実写邦画・独断ベスト5
- 2016.12.31 Saturday
- 17:57
2016年実写邦画・独断ベスト5を発表します。
私がことし劇場で観た邦画作品のなかから選びました。たくさんの素晴らしい作品を見逃していると思いますが、ご理解ください。
★5位「エヴェレスト 神々の山嶺」
2016年2月25日、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016のオープニング上映で見ました。
登山家である羽生丈二が、前人未到のエベレスト南西壁冬期無酸素単独登頂に挑む姿を描いています。邦画初となる標高約5200メートルでの撮影に挑みました。羽生役の阿部寛の熱演は、鬼気迫るものがあります。CGでは決して表現できない迫力ある映像に、圧倒され続けました。ただ作品としては、残念な部分もあります。
★4位「葛城事件」
無差別殺人事件を起こした加害者青年とその家族、加害者と獄中結婚した女性が繰り広げる人間ドラマです。救いのない「後味の悪さ」が、話題になりました。抑圧的な父親・清を演じた三浦友和の存在感が光ります。加害者と獄中結婚した女性・星野順子を演じた田中麗奈の屈折した姿が胸に刺さりました。彼女の存在によって、この映画はより立体的になっています。
★3位「FAKE」
このドキュメンタリー作品は、「真実を暴く」というスタンスではありません。マスメディアは佐村河内(さむらごうち)氏を嘘つきの悪人だと断じましたが本当はそうではなかったという内容ではありません。感動的なラストシーンを用意し、奇麗にまとまるかに見えた作品は、最後に、大きな疑問を提示して終わります。事実は、ふたたび宙づりにされます。真実によって感動するのではなく、不確かさを突きつけられて感動するという、貴重な体験ができる、傑作ドキュメンタリーです。
★2位「湯を沸かすほどの熱い愛」
中野量太監督の商業映画デビュー作です。「湯を沸かすほどの熱い愛」というコミカルな題名が、想像を超えたラストシーンにつながります。ストーリーは、思いがけない展開を見せます。予想を遥かに超えた人間関係が広がります。様々な伏線が、大きな驚きを連れてきます。ラストは、こう来たかと感心しました。
★1位「シン・ゴジラ」
日本で12年ぶりに作られたゴジラ映画の新作です。原点回帰しながら、ゴジラのイメージを一新した奇跡的な作品です。東日本大震災をふまえ、ゴジラの原点である反核もしっかりと踏まえています。ハリウッド映画の文法をきっぱりと否定した革新的な作品で、リアルな政治シミュレーションでありながら、さまざまな角度から楽しめる、まれにみる傑作です。骨太のストーリー、斬新なアイデア、細部に散りばめられた遊びが見事に調和しています。