「GODZILLA 怪獣惑星」、ゴジラの新たな歴史に立ち会う醍醐味

  • 2017.12.09 Saturday
  • 19:28


 

 

「ゴジラ」シリーズ初の長編劇場アニメ「GODZILLA 怪獣惑星」。静野孔文と瀬下寛之が監督をつとめ、ポリゴン・ピクチュアズが制作しました。ゴジラと人類の闘いを描く3部作の第1部。

 

 

 

20世紀末、さまざまな巨大生物」とそれを凌駕する「ゴジラ」が次々と地球に現われ、人類は半世紀にわたる戦いの末に地球脱出を行います。宇宙に旅立ったものの人類が生存できる環境の星は見つからず、最終手段として危険な長距離亜空間航行をつかった地球帰還を決行します。到着した地球では2万年の歳月が流れており、謎に満ちた生態系がつくられていました。

 

ストーリー原案と脚本は、あの虚淵玄。ハードSF調の重層的で想像を超えた物語は、見応えがあります。そして、圧倒的な絶望感。斬新だった「シンゴジラ」とは別の新たなゴジラ像を提示しています。ゴジラとの戦闘シーンの迫力は、まさに手に汗握るレベルです。

 

ゴジラファンで、劇場アニメを観る人でも、初めてのアニメ版ゴジラには、抵抗感のある人もいます。永い歴史を誇る実写版ゴジラと比較してしまうのは、仕方がないことかもしれません。しかし、ゴジラの新たな歴史に立ち会うという醍醐味があります。目を見張るシーンに出会えます。

 

第2部の「GODZILLA 決戦機動増殖都市」は、2018年5月に公開予定です。


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「ゴッホ 最期の手紙」

  • 2017.11.26 Sunday
  • 19:17



世界で初めて全編が動く油絵で構成された映画「ゴッホ 最期の手紙」は、ドロタ・コビエラ、ヒュー・ウェルチマン両監督の作品です。イギリス・ポーランドの合作。仏アヌシー国際アニメーション映画祭2017で観客賞を受賞ました。


ゴッホの死から1年後。青年アルマンは、ゴッホの友人だった郵便配達人の父から1通の手紙を渡されます。ゴッホが弟のテオに宛てて書いた手紙を、テオを探して渡してほしいと頼まれます。


しかし、テオはゴッホの死から半年後、亡くなっていました。アルマンは、なぜゴッホは自殺したのか、ゴッホの死の理由を探るため、ゴッホと関係のあった人物に聞き込みを始めます。


その物語が、ゴッホ風の油絵アニメで描かれます。俳優が演じた実写映像をもとに、世界中から集まった125人の画家が6万2450枚の油絵を実際に描き、それをアニメ化するという手法がとられました。構想から完成までに、7年かかりました。


今では、人工知能を使えば、実写映像を自動でゴッホ風のアニメに変えることができます。インターネットで探すと、人工知能で変換したゴッホ風の動画を観ることができます。


しかし、この作品は実際に人が描いた油絵がもとになっているので、デジタル処理と違い、絵の具の盛り上がりや筆のかすれまでが映しだされます。場面場面で、一人一人の画家の個性が感じられます。メリハリのある色彩の動きを楽しみながら、その質感を味わいました。完成したのが奇跡と呼べる作品です。


ゴッホの「夜のカフェ」という絵画の中に入り込み、自由に移動できるVR作品があります。VR空間にはカフェが広がっています。ゴッホが椅子に座りパイプでタバコを吸い、時折窓の外を眺めます。不思議な体験でしたが、このアニメも、不思議な感覚に包まれました。


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アニメ「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」

  • 2017.10.28 Saturday
  • 13:56



アニメ「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」は、24年前にフジテレビで放送された岩井俊二監督のテレビドラマが原作です。制作は、シャフト。総監督が新房昭之。監督が武内宣之。観る前から、期待が高まりました。

 

原作は、TVドラマシリーズ「If もしも」の1作品として1993年8月に放送され、テレビドラマとしては初の日本映画監督協会新人賞を受賞しました。小学生役の奥菜恵と山崎裕太が、みずみずしい演技をみせました。

 

アニメは、伏線を張り巡らせるシャフトらしい表現を見せながら、ガラスのCG表現など新たな領域にも踏み込んでいました。タイムリープものとしての物語のひねり方もまずまずです。ただ、登場人物の年齢を上げたことについては、賛否が分かれると思います。


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アニメ「メアリと魔女の花」

  • 2017.08.26 Saturday
  • 19:11




「借りぐらしのアリエッティ」「思い出のマーニー」の米林宏昌監督が、スタジオジブリ退社後に初めて手がけたアニメ作品「メアリと魔女の花」。ジブリ出身の西村義明プロデューサーが設立した、スタジオポノックの長編第1作です。

 

イギリス人作家メアリー・スチュアートの児童文学「The Little Broomstick」を原作に、魔女の花を見つけて、魔法世界に入り込んだ少女メアリの冒険を描いていきます。

 

田舎に引っ越してきた11歳の少女メアリは、7年に1度しか咲かない不思議な花「夜間飛行」を森の中で偶然見つけます。それは、かつて魔女の国から盗み出された花でした。不思議な力を手に入れたメアリは、魔法世界のエンドア大学に入学を許されます。

 

「天空の城ラピュタ」ほか、これまでの様々なジブリ作品を思い起こさせる場面が続きます。表現スタイルも、いかにもジブリ風です。監督だけでなく、スタッフの8割がジブリ出身者ですから、無理もありません。

 

ジブリが培ってきた映像や音響の技術を活かしながら、ジブリを超えていけたら良かったのですが、ジブリの焼き直しに見えてしまいます。作品にかける米林監督の熱意は伝わってきますが、作家性が弱い。物足りなさが残りました。


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アニメ「カーズ/クロスロード」

  • 2017.08.26 Saturday
  • 19:08



レーシングカーのライトニング・マックィーンを中心に、車たちの活躍を描くピクサー・アニメ「カーズ/クロスロード」。「カーズ」シリーズの第3作です。ジョン・ラセターは製作総指揮にまわり、ブライアン・フィーが初監督を務めています。

 

ベテランの域に達したマックィーンが、最新のテクノロジーを搭載した次世代レーシングカーの台頭で、人生の岐路に直面し、大きな決断を迫られます。マックィーンと同世代のレーサーたちは次々と引退、マックィーンもレース中にクラッシュを起こしてしまいます。

 

マックィーンは、仲間たちの励ましによって再起を決意し、最新技術を誇るトレーニング施設で訓練を始めます。担当トレーナーのクルーズ・ラミレスとともに、トレーニングに励みます。

 

日本語吹き替え版で観ましたが、ラミレス役の松岡茉優のうまさに舌を巻きました。彼女のはつらつとした魅力が、作品を輝かせていました。

 

ハイテンポで楽しみましたが、予想外のラストシーンは、いろいろと考えさせられます。世代交代というテーマは、大人向けの切実なテーマでした。

 

同時上映の短編アニメは、デイヴ・マリンズ監督の『LOU』。手慣れていましたが、はっとする映像的な新しさはなかったです。


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劇場版アニメ「BLAME!」

  • 2017.06.28 Wednesday
  • 20:43



劇場版アニメ「BLAME!」は、1993年から2003年まで月刊アフタヌーンに連載された、弐瓶勉によるSFコミックのアニメ化です。監督・ 脚本は『亜人』『シドニアの騎士』の瀬下寛之。コミックは、弐瓶勉初の長編連載作品で、人よりも全体像がわからない階層都市・巨大建築物が主人公でした。とても先駆的な内容です。

 

都市のネットワークにアクセスできる「ネット端末遺伝子」を失った人類は、過去の繁栄の記憶を忘れ、都市の片隅で細々と生き残っています。都市の保安システムからは、見つかると異物として駆除されてしまいます。

 

主人公の霧亥(キリイ)は、「ネット端末遺伝子」を持つ人間を探し放浪しています。手にしているのは、全てを貫通する強力な銃「重力子放射線射出装置」。ものすごい破壊力です。

 

アニメは、見ごたえのある人間ドラマになっています。食料がなくなり滅びようとしていた村が舞台。少女・づるたちは食料探しの旅に出ますが、都市の保安システムに見つかり、攻撃を受けます。絶体絶命のとき、霧亥が現れ、づるを救います。づるは、霧亥を村に連れていきます。そこから物語が始まります。

 

霧亥は、西部劇ていえば無敵のガンマンです。少女・づるは、とてもかわいいです。サイボーグの科学者・シボは、キャラクターがとても魅力的です。立ち振る舞いが、シャープです。

 


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劇場アニメ「夜は短し歩けよ乙女」は、湯浅政明監督ならではの独創的な表現

  • 2017.05.28 Sunday
  • 19:20


 

 

森見登美彦の初期小説「夜は短し歩けよ乙女」、黒髪の乙女に思いを寄せる冴えない大学生の物語を、湯浅政明監督がアニメ化しました。なんと、13年ぶりの劇場アニメです。

 

 

京都を舞台にしています。京都の不思議な時空間で、奇妙な物語が進み、荒唐無稽なエネルギーがさく裂します。大学時代のお祭り騒ぎ、自由さが広がります。湯浅政明ならではの独創的なアニメ表現ですが、さすがに歴史的な傑作「マインド・ゲーム」には及びません。

 

あらためて湯浅政明監督を紹介します。

1990年から放送開始の『ちびまる子ちゃん』では、初代OP「ゆめいっぱい」、初代ED「おどるポンポコリン」の作画を担当しました。1992年の映画「ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌」で「1969年のドラッグレース」「買い物ブギ」の音楽シーンを担当し、個性を爆発させています。

 

2004年公開の映画初監督作品「マインド・ゲーム』」では脚本も務め、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞を受賞し、世界的に注目されましたが、興行収入はとても少なかったようです。

 

2010年には森見登美彦原作の『四畳半神話大系』をTVアニメ化し、『マインド・ゲーム』以来2度目となる文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞を受賞しています。

 


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劇場版アニメ「ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール」

  • 2017.03.25 Saturday
  • 22:31



「ソードアート・オンライン」は、川原礫のライトノベル。VRを舞台にした物語です。2009年4月から「ソードアート・オンライン」シリーズの刊行を開始しました。小説は日本国内で累計1250万部(全世界1900万部)発行を記録しています。

 

Oculus VRの創業者パーマー・ラッキーが「ソードアート・オンライン」のコスプレをするぐらいのファンであることは、有名です。インタビュアーが訪れると、パーマー・ラッキーのいるオフィスの壁に「ソードアート・オンライン」の主人公キリトの絵が描かれていたと言います。

 

2014年にアメリカで開かれたAnime Expoでは、Oculus VRが「ソードアート・オンライン」のVRアプリを出展しました。Oculus VRがKADOKAWAに打診して企画が通り日本の制作チームが作成しました。川原礫も現地でパーマー・ラッキーと会い、「ソードアート・オンライン」のVRを体験しています。

 

テレビアニメ「ソードアート・オンライン」は、2012年7月から12月まで放送。全25話。アインクラッド編とフェアリィ・ダンス編をアニメ化。「ソードアート・オンライン2」は、2014年7月から12月まで放送。全24話。ファントム・バレット編、キャリバー編、マザーズ・ロザリオ編をアニメ化。

 

「ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール」(2017年)は、シリーズ初の劇場版。川原礫の完全書き下ろしストーリーです。これまで描かれてきたVRではなくAR(拡張現実)を中心に、2026年春が舞台となっています。人工知能、記憶のコピーという大きなテーマも盛り込まれました。

 

2026年、フルダイブ型のVRではなく、現実世界をフィールドとする拡張現実型のオーグマーが、急速に普及しています。オーグマーを使用して遊ぶゲームが「オーディナル・スケール」。東京の街並みが「オーディナル・スケール」の世界に変わっていくシーンに、ぞくぞくしました。ARによるこれからの現実感覚を示しています。

 

物語は、第1期TVアニメとのつながりが強いです。ただ、初見でも楽しめます。キリトとアスナの関係を中心に、ファンにとって美味しい場面が続きますが、ファンサービスの作品ではありません。VRとARがその特徴を生かして人間ドラマと絡む、よく練られた構成です。

 

アニプレックスは、2016年9月に「スクリプトルーム」の新設を発表しました。社内に設けたアニメシナリオなどのテキストを制作するチームです。全員で決定稿まで議論しています。脚本の密度の濃さを生み出しています。「ソードアート・オンライン オーディナル・スケール」はスクリプトルームの第1作に当たります。

 

たたみかける映像の迫力、矢継ぎ早の戦闘シーンは魅力的です。そして人工知能ユナの悲しい秘密。ユナが戦闘場面で歌う曲も美しいです。ユナ役の神田沙也加は、会話から流れるように歌い出します。うまいです。

 

予想を超えた傑作でした。エンドロール後の意味深な映像とともに、"SAO will return.”の文字。続編が、待ち遠しいです。テレビアニメシリーズの3期にも期待しましょう。


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ゆうばり国際ファンタステック映画祭オープニング作品「ひるね姫 〜知らないワタシの物語〜」

  • 2017.03.23 Thursday
  • 18:52


 

 

今年のゆうばり国際ファンタステック映画祭は、例年より1週間遅い開会でした。初日3月2日に、夕張を訪れました。昨年のオープニングは吹雪になりましたが、ことしは、穏やかな天気でした。

 

 

 

ことしの3月6日は、夕張市の財政破たんから10年目に当たります。鈴木直道夕張市長は「新しい夕張の一歩が、 映画祭期間中にスタートします。この10 年間、映画祭にお集まりのみなさんに夕張市民がどれだけ救われたかわかりません」とあいさつしました。

 

オープニングセレモニーでは、夕張再生に向けた「RESTART!」のメッセージを込めた映像が初めて公開されました。BGM にはGLAY の曲が使われていました。

 

2014年でインターナショナル・ショートフィルム・コンペティション部門でグランプリに輝いた堀貴秀監督「JUNK HEAD」の続編の予告編映像も紹介されました。「JUNK HEAD」は、4年間かけてほとんど一人で作り上げた30分のコマ撮り作品でした。端正な造形とダークな世界観、そしてほのかなコメディ色が特徴です。制作は順調のようで「JUNK HEAD 2」の公開が楽しみです。2014年の夕張で、堀監督と映画について話したことが懐かしく思い出されます。

 

オープニング上映会場は、ことしも体育館でしたが、音響は素晴らしかったです。特に低音は身体を揺さぶるほどでした。ことしのオープニング作品は「ひるね姫 〜知らないワタシの物語〜」です。

 

「精霊のもり人」「東のエデン」「攻殻機動隊 S.A.C.」シリーズなどの神山健治監督のオリジナル長編劇場アニメです。残念ながら神山監督は来ませんでしたが、映画の前のビデオ映像で制作にかけた3年間の苦労を話しました。

 

今回の作品は、ふつうの女子高生・森川ココネが主人公です。2020年夏という東京オリンピックの年が舞台の近未来アニメ。前半は、やや話しが混み入っていますが、ラストに向けて怒涛の展開を見せます。見応えがありました。

 

予告編に、オキュラス・リフトのようなVRヘッドセットが登場したので、VRと作品が、どうつながるのかと思っていましたが、VRヘッドセットは新しいモニターとしての役割にとどまっていました。作品のテーマは、自動運転をめぐる世代間の価値の違いでした。

 

エンドロールの歌は、名曲「デイ・ドリーム・ビリーバー」。ココネの声優を務めた高畑充希が歌っています。エンドロールの映像は、本編では謎だったココネの両親の出会いと恋愛を描いていて、本編以上に面白かったです。


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2016年劇場アニメ・ベスト5

  • 2017.02.06 Monday
  • 18:46


 

 

私が、2016年に劇場で観たアニメの中から選んでいます。ほかにたくさんの傑作があると思いますが、ご理解ください。

 

 

 

★5位「父を探して」
「父を探して」は、出稼ぎに出た父親を探し、少年が世界を旅する物語です。ブラジルのアレ・アブレウ監督による長編アニメです。セリフもテロップもありません。それでも、十分に伝わります。アカデミー賞長編アニメーション部門の最終候補にノミネートされ、注目を集めました。

 

クレヨン・色鉛筆・切り絵・油絵具、コラージュなどを巧みに使ったアニメは、多彩であり、センスが良く、わくわくします。豊かな映像表現は、札幌国際短編映画祭で、たくさん観てきたので、それほど驚きませんが、それでも高い水準を保ち続けたこの長編は、間違いなく力作です。

 

★4位「聲の形」
「聲の形」は、大今良時(おおいま・よしとき)のコミックをアニメ化しました。山田尚子(やまだ・なおこ)監督。制作は京都アニメーションです。聴覚障害によっていじめられ、嫌がらせを受けるようになった少女と、彼女のいじめの中心人物となったことが原因で周囲に切り捨てられ孤独になった少年の触れ合い。 「気持ちを伝えることの難しさ」、 人間の孤独や絶望、純愛を繊細に描いています。

 

 一歩間違えば、障碍者を使って感動を押し付ける差別的な作品にもなりかねない、アニメとしては、非常に難しいテーマに挑みました。ひりひりする感情が伝わってくる作品です。

 

★3位「ズートピア」
アニメ「ズートピア」(リッチ・ムーア、バイロン・ハワード、ジャレド・ブッシュ監督、2016年)は、まず映像の美しさに驚かされますが、本当に驚くのは、大どんでん返しまでの良く練られた脚本です。じつに鮮やかな手さばきです。

 

新米ウサギの警察官ジュディ・ホップスと、キツネの詐欺師ニック・ワイルドの2人を軸に物語は進みます。連続行方不明事件を探る中で、二人の関係は深まります。そして、「ズートピア」の人種差別、欺瞞があぶり出されていきます。

 

差別の問題を動物の世界に置き換えることで、鋭い指摘が可能になっています。深い社会派作品でした。

 

★2位「君の名は。」
アニメ「君の名は。」は、これまでの新海誠の表現から大きく踏み出した作品です。しかし新海誠の、美しく切ないテイストは健在です。表現の幅は、さらに豊かに広がりました。安藤雅司(あんどう・まさし)氏ら、多くのベテランたちの協力で、幅広い層が楽しめる内容になりました。

 

すべての音楽をRADWIMPS(ラッドウィンプス)が手がけています。音楽と映像が響きあいます。新海誠監督は、初期のころから、音楽とのシンクロを重視してきました。2001年にデビュー前の新海誠監督に出会い、その才能に驚いてから15年。アニメ制作を独力で始めて、ここまでできたという感動は、筆舌に尽くせません。


★1位「この世界の片隅に」
 片渕須直(かたぶち・すなお)監督・脚本。こうの史代(こうの・ふみよ)の漫画のアニメ化です。制作会社は、MAPPA(マッパ)。準備期間を含めて6年の歳月をかけた作品です。

 

制作から、公開後の広がりを見ると、「この世界の片隅に」は、インターネット時代だからこそ可能になった作品だと言えます。片渕監督は、資金を集めるためにパイロット版を作成しましたが、その制作資金をクラウドファンディングで集めました。3374人が3912万円の資金を支援しました。このことが話題となり、制作資金が順調に集まりました。

 

前半は、当時の人々の生活を丹念に描いています。ほのぼのとした喜劇のような内容です。片渕監督は、丹念に資料を集め、現地の人々とじっくりと交流しながら、失われた町の生活を再現しています。前半の丁寧な生活描写があるため、後半の戦争シーンは心がえぐられるように感じます。知らないうちに、あの時代に一緒に暮らしているような気持ちになります。そして、いまも世界の各地で空襲が続いていることに身震いします。

 

監督による丹念な調査による細やかな日常描写と、主人公すず役のんの柔らかな演技。この作品は、長く心に残ると思います。多くの人に見てもらいたい作品です。

 

次点「GANTZ:O」
フル3DCGアニメ「GANTZ:O(ガンツ:オー)」。予想を遥かに上回る作品に仕上がっています。川村泰(かわむら・やすし)監督。96分。
2016年は日本2D手書きアニメの金字塔というべき「君の名は。」が歴史的に大ヒットした年として記憶されますが、3DCGアニメの水準を大きく引き上げた「GANTZ:O」が公開された年としても記録されると思います。

 





 

 

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