2016年、ものすごくたくさんのアニメが放送されましたが、私が観た作品に限ります。ご理解ください。
★5位「田中くんはいつもけだるげ」
まったりとしたペースで、高い水準を保っています。地味ながら、これまでにない斬新な映像表現に驚きます。繊細なギャグと絶妙な間合いがたまりません。高校1年生の田中くんと太田くんの掛け合い漫才が基本ながら、取り巻きの女子高生たちが皆個性的で、それぞれキャラが立っていています。中でも、田中くんの中学3年生の妹の屈折した性格が可愛いです。脱力系で無気力に見える田中くんは、なかなか謙虚な性格で人間観察に優れていることに気づきます。だんだん魅力的に見えてきます。
★4位「Re:ゼロから始める異世界生活」
コンビニ帰りに突然、異世界に召喚された引きこもり高校生の少年ナツキ・スバルの冒険活劇です。異世界、死に戻り、ループという、使い古された設定にも関わらず、毎回本当にドキドキする先の読めない壮大な展開でした。ナツキスバルの空回りにイライラしながら、いつしか感情移入してしまいます。そして、ヒロインのエミリアもレムも、本当に可愛い。萌えアニメとしても優秀です。
★3位「ユーリ!!! on ICE」
男性フィギュアスケートの世界を見事に描きました。毎回、流れるようなオープニング映像を観るだけで、期待が高まりました。 グランプリファイナル優勝を目指して各選手が全力で滑ります。その華麗な場面と、個々人の境遇や個性を描くシーンの対比が面白いです。さまざまな小ネタも楽しかったです。今年最も盛り上がったアニメの一つです。
★2位「僕だけがいない街」
TVアニメ「僕だけがいない街」は、苫小牧出身の三部(さんべ)けいの漫画のアニメ化です。原作の繊細さを生かし、とても丁寧に作られています。主人公のひたむきさに、涙が出ます。毎回、はらはらし、切なさで胸がいっぱいになります。
苫小牧を舞台にした希代の傑作アニメの完結を喜びたいと思います。長く心に残ると思います。
★1位「昭和元禄落語心中」
物語の構成が巧みで、毎回、きっちりとまとめあげ、各回ともメリハリの利いた展開が続いていました。一言一言、一つ一つの動きの間合いが、とても心地良い展開です。落語自体が、間の芸術ですが、このアニメの間は、本当に素晴らしいと思います。時代を表す背景画が、じつに落ち着いています。
毎回、落語をしっかりと聞かせる場面を盛り込んでいます。落語の素晴らしさを伝えると同時に、声優という仕事のすごさをも感じさせます。
★次点「舟を編む」
TVアニメ「舟を編む」は、三浦しをんの小説のアニメ化です。新しく刊行する辞書『大渡海』を地道に編さんしていく物語です。原作に忠実に、ゆったりとしたペースで進んでいきます。こんな地味な話しを、よくアニメ化したものだと感心します。しかし、なかなか良い味を出しています。これも、アニメの魅力です。
これで終わりではありません。特別賞があります。
★10分アニメの「とんかつDJアゲ太郎」
渋谷のトンカツ屋「しぶかつ」の跡取り息子・揚太郎が、クラブカルチャーに衝撃を受け、とんかつ屋とDJに多くの共通点を見出し、両方を両立させようと奮闘するギャグ漫画です。熱血で、乗りが良いアニメです。監督は、大地丙太郎(だいち・あきたろう)です。
荒唐無稽な設定に見えますが、DJの本質を鋭くえぐっているとクラブシーンの関係者やアーティストが高く評価しています。さらには、人生哲学の深みも感じられます。
★5分アニメ「3ねんDぐみガラスの仮面」
「ガラスの仮面」40周年記念作品で、美内すずえが監修しています。なぜ3ねんDぐみかというと、3Dアニメだからなんですね。
アニメは、冷え切った現代人の心を熱くするため、登場人物の北島マヤ、姫川亜弓、月影千草、桜小路優、速水真澄が、現代にタイムスリップしてきたという設定です。すぐマヤの眼が白くなるし、ストーリーもシュールでなかなか毒のある展開で、面白いです。