映画「ミスティック・リバー」、川の水は、濁っていて冷たすぎます
- 2016.01.05 Tuesday
- 07:34
イーストウッド監督は、ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケビン・ベーコンという名優を迎え、ミステリーのスタイルを借りて残酷で濃厚な人間ドラマ「ミスティック・リバー」(2003年)を生み出しました。
偶然にほんろうされ傷つき、さまざまな弱さを抱えて生きている人々を襲う錯綜した悲劇。短いシーンを巧みに組み合わせて多面的な事実を明らかにしていく構成は完璧と言えます。
優れた作品であることは間違いないが、好きになれません。救いがないからではありません。観ていて、監督にもてあそばれているように感じるからです。
理不尽な殺人が繰り返される展開が、最後に夫婦喧嘩を仲裁するという偽りの明るさが気に入りません。高みからの俯瞰が多い映像は、どこか寒々としています。ラストで画面を覆うミスティック・リバーの水は、濁っていて冷たすぎます。