第7回札幌国際短編映画祭2012(5)

  • 2015.12.31 Thursday
  • 15:48

フイルムメーカー部門は、一人の監督の複数の作品をまとめて上映するユニークなコンペです。

★フイルムメーカー部門A。
ポルトガルのモハマドレジャ・ハジポ監督の作品は、社会的なテーマを扱った、ちょっとコミカルな映画。監督の私費で制作。11時間で撮影した「ベイビー」が面白かったです。

アメリカのドン・ハーツフェルト監督の作品は、単純な線画を駆使した毒のある内容。絵は可愛いですが、語られる物語はシュールで怖いです。奇妙な味わいがありました。

★フイルムメーカー部門B。
オーバーチュアとヨハネス・二ホーム監督です。
オーバーチュアは、日本人とアメリカ人のユニット。手書きの良さを生かした浮遊感のあるシュールなミュージックビデオです。

スウェーデンのヨハネス・二ホームは、粘土細工のパペットボーイを駆使した、落ち着かないアニメが持ち味。最後の監督が登場するドキュメンタリーは、アニメの説明ではなく、アニメを組み込んだ巧みな作品になっていて、驚きました。そのアイデアに打ちのめされました。癖の強い作風ですが、そのインパクトで、フィルムメーカー部門グランプリを受賞しました。



第7回札幌国際短編映画祭2012(4)

  • 2015.12.31 Thursday
  • 15:47

★ナショナルプログラムBは、独創的なアニメに驚きます。
「この男子、宇宙人と戦えます。」は、いわゆる世界系のアニメ作品。荒唐無稽の中にリアルが潜んでいます。「大きな樹」は、油絵風の新鮮な表現のアニメ。「干し柿」は、介護をテーマにした佳作。「リリタアル」は、精緻に書き込まれた独自の世界観に貫かれたハイレベルのアニメです。最優秀作曲賞を受賞。
爆笑短編「伝説の家族」(照屋年之監督、15分)は、笑いが止まりませんでした。たぶん伝説のショートとなるでしょう。

★北海道セレクション
「うごくえこよみ」は、横須賀令子さんが描く墨絵のアニメ。日本の豊かな四季を表現していました。最優秀北海道作品賞を受賞しました。危篤のおじいちゃんの下にに集まる「スノウリバーのシャロン」は、予想外にユーモラス作品。監督が友達と楽しんで制作した感じが伝わってきます。



第7回札幌国際短編映画祭2012(3)

  • 2015.12.31 Thursday
  • 15:46




日本の作品の「ナショナルプログラム」
★ナショナルプログラムA。多彩で、どの作品もインパクトがありました。
「桜の温度」(Sakura no ondo)は、平尾 隆之(Takayuki HIRAO)監督のアニメですが、ufotableが制作しています。小さな大作。新しい息吹、可能性を感じます。

「Matou」は、さまざまに着替えながら若返っていく一人の女性を描きます。平林勇(ひらばやし・いさむ)監督ならではの、毒の利いた作品。最優秀コンテンポラリー/エクスぺリメンタルショート賞、ベストミニショート賞を受賞しました。

「救命士」(Paramedic)は、20分の本格ドラマです。救急隊員が現場に急行しますが若い妊婦と恋人らしき男が病院に受け入れを断られます。救急隊員たちの苦労が伝わってきます。完山京洪(Keihiro Kanyama)監督。

山川晃(Hikaru Yamakawa)監督の「How do you get in "Outside"?」。不条理とユーモアを含んだCGでの独創的な映像です。甲斐 さやか(Sayaka Kai)監督の「SIOSAI」は、映像詩、ポエムです。こういう作品が私は好きです。

「グレートラビット」(The Great Rabbit)相変わらず、不条理でユーモラスで毒のある和田淳(わだ・あつし)監督作品。シャープペンの魔術です。

「転校生」(Transferring)
金井純一(Junichi Kanai)監督。クラスで居場所のなくなった容子のもとに転校生がやってきます。揺れ動く心を見事にとらえています。最優秀監督賞、最優秀国内作品賞をダブル受賞。



第7回札幌国際短編映画祭2012(2)

  • 2015.12.31 Thursday
  • 15:45




★作品部門
★インターナショナルプログラム
★アニメを中心とした「ファミリー・チルドレン」プログラムは、毎年面白いですね。子供達もたくさん参加し、拍手していました。
「グラッファローのこども」は、2010年上映の「グラッファロー」の続編。そのほか、クレイアニメのクロマメ制作「バーチェとチェーチェともりのようせい」、まくまくんシリーズも楽しいです。

★インターナショナルプログラムIーAプログラム
ラストで種明かしされる「フィナーレ」の見事さ。ビデオを巧みに使い不思議な世界を作り上げた「親愛なるリサへ」。日本人の女性と、妻を亡くした男のワイナリーの交流を描いた「冬の蛙」も印象的でした。

★インターナショナルプログラムIーBプログラム。
最初のドイツ作品「フラミンゴ・プライド」は、ハイテンションのCGアニメ。一気に盛り上がります。オーストリアの「バスチケット」は、グランプリを争い、審査員特別賞に輝きました。フランスのゾンビ作品「私の愛しいゾンビ(血で染まったパリから)」もしゃれています。老夫婦が良い味を出している「アルマゲドン」は、作品部門のグランプリと、最優秀男優賞を受賞しました。

★インターナショナルプログラムIーCでは、ドバイでの列車の旅を描いた「渇き」の変化する映像を楽しみました。「オー!ウィリー」の不思議なフェルトアニメは、最優秀アニメーション賞に選ばれました。

★インターナショナルプログラムIーDプログラムでは、「グルコース」が独自の世界観をユニークで精緻なCGで表現。「群れ」の昆虫の繁茂アニメには圧倒されました。虫が苦手な人には危険です。トルコの作品「サイレント」は、最優秀脚本賞に輝きました。

★インターナショナルプログラムIーEプログラムでは、女の子の気持ちの変化を通じて、生きる希望を描いた「ソフィアの門限」が傑出していました。最優秀子役賞を受賞しました。ナチス親衛隊に志願したノルウェー人の遺骨採取を記録した「トランジット」は、もう少し深めるとドキュメンタリー賞になるテーマでしょう。

★インターナショナルプログラムIーF。「ウォンテッド・メロディー」は、大人のクスクスアニメ。セリフのない「イン・ザ・ニック・オブ・タイム」は心温まる結末でした。最優秀ノンダイアログ賞を受賞。出稼ぎを描いた「ストレンジャー」は最優秀女優賞を受賞しました。



第7回札幌国際短編映画祭2012(1)

  • 2015.12.31 Thursday
  • 15:37




2012年9月12日から17日まで、札幌プラザ2・5をメーン会場に第7回札幌国際短編映画祭(SAPPOROショートフェスト2012)が開かれました。

今年のコンペには世界93の国と地域から計2723作品が参加。「作品部門」71作品、「フィルムメーカー部門」4監督16作品が選ばれました。そして、グランプリを競いました。SAPPOROショートフェストは、グランプリだけではなく、映像作品の多様性の配慮し、本当にたくさんの賞を用意している映画祭です。でも、まだまだ賞を上げたい作品がたくさんありました。

コンペ部門ではない「After3.11」と「初音ミク誕生5周年記念CGMアワード」。

東日本大震災をテーマにした特別プログラム「After3・11」では、福島の原発事故を、土からはい出したセミのつぶやきで表現した平林勇監督の「663114」やシアターキノの中島洋代表が企画したドキュメンタリー作品「福島からのメッセージ」(是枝裕和監督)、山本寛監督のアニメーション「ブロッソム」など素晴らしい作品ばかりでした。ルーシー・ウォーカー監督が被災地にカメラを向けた「津波そして桜」は衝撃的な映像、被災者の証言、桜の美しさを巧みに編集した傑作です。

初音ミク誕生5周年記念CGMアワードを組み込んだ点も、2012年の大きな特徴です。札幌で生まれた仮想アイドル・初音ミクの動画を全世界から募集し、優秀作品を表彰して上映しました。初音ミク生誕の地での「新しい映像イベント」として世界中から注目を集めました。会場は、たくさんの参加者で、ほぼ満員になりました。

入選した20本を大画面で上映しました。 期待をはるかに上回る傑作ぞろいでした。至福の時間。毎年開催して欲しいと思いました。

CGMアワードの最優秀賞は、森井ケンシロウさんの「サイハテ」でした。
優秀賞はsayka(サイカ)「僕はロボット」、ブラザーP「初音ミク 3DAnimation-PV ":Re”」

制作者の間では、OSTER project製作の12分の大作ミュージカル「Alice in Musicland」の評価が高かったです。



映画「その夜の侍」は、復讐劇と思わせて、希望を描いています

  • 2015.12.12 Saturday
  • 18:48




「その夜の侍」は、2007年に劇団THE SHAMPOO HATが上演した舞台劇を原作とした作品です。監督・脚本は原作者の赤堀雅秋が務め、映画監督デビューです。舞台での豊富な経験が生かしながら、荒削りな独特の質感を持っていました。

復讐劇と思わせて、希望を描いています。小さな鉄工所を経営する中年男は、5年前に最愛の妻をひき逃げ事件で失い、刑期を終えて出所したひき逃げ犯への復讐を計画し、カウントダウンを告げる脅迫状を送り続けています。そして、対決の時がやってきます。

豪華キャストに驚きます。妻をひき逃げで殺された中村健一役の堺雅人よりも、ひき逃げ犯役の山田孝之の得体の知れなさが、衝撃的でした。ほんの一瞬登場した三谷昇の異様な存在感にもうたれました。女性たちが、十分描けていないのが残念でした。

協同組合日本映画製作者協会がもっとも将来性のある新人監督に与える『新藤兼人賞』の2012年金賞を受賞しました。将来を期待してでしょう。自己満足に陥りそうな表現を、ぎりきりでシアルさに置き換えている危うさが魅力です。



映画「恋のロンドン狂騒曲」は、アレン節健在の辛辣なラブコメディ

  • 2015.12.12 Saturday
  • 14:05




ウッディ・アレン監督の「恋のロンドン狂騒曲」は、ヒット作「ミッドナイト・イン・パリ」の後に公開されましたが、製作は「ミッドナイト・イン・パリ」の前、2010年です。ロンドンを舞台に2組の夫婦を中心とした恋を描いた、辛辣なラブコメディ。ウッディ・アレン節、健在です。

映画の冒頭と最後で「人生は騒がしいが意味はない」というシェイクスピアの「マクベス」のセリフが引用されます。登場する、様々な恋愛劇は、なさそうでありそうなパターン。燃え上がりながら、皮肉な展開を遂げていきます。ウッディ・アレンは神のように意地悪です。

アンソニー・ホプキンス、アントニオ・バンデラスら、いずれも芸達者ぞろいのキャスティングですが、売れない作家ロイとの夫婦関係につかれ、生活費のために美術ギャラリーで働きはじめ、オーナーに心ときめくサリー役のナオミ・ワッツのドタバタぶりが、一番印象に残りました。



クリント・イーストウッド主演の映画「人生の特等席」、俳優に徹した主演は19年ぶり

  • 2015.12.12 Saturday
  • 13:47




クリント・イーストウッド監督、主演で企画された作品が「人生の特等席」です。それをプロデューサーなどでイーストウッドを支えてきたロバート・ロレンツが初監督することになったもの。2008年の監督・主演作「グラン・トリノ」で俳優引退宣言したクリント・イーストウッドが4年ぶりに銀幕復帰。俳優に徹した主演作は19年ぶりです。

俳優としてのイーストウッドの魅力は失われていません。伝説的なスカウトマン・ガス役で、今回も頑固おやじを渋く演じています。彼のひとり娘ミッキー役のエイミー・アダムスも、父親譲りの頑固さを見せ、存在感抜群でした。

ストーリーは、アンチ「マネー・ボール」的。ガスはデータに頼らず、自分自身の経験を信じてスカウトします。データ主義との対立はいかにも単純化されていて、底が浅いです。ガスとミッキーのこじれた関係が、修復されていく過程もひねりがないですね。

ガスにスカウトされた元選手でスカウトマンのジョニーとミッキーの恋愛劇がやや唐突。ラストのどんでん返しも、いかにもご都合主義。こんな都合の良い展開では、さわやかさと痛快さが生まれないと思いますが。ただエンディングのイーストウッドの後ろ姿は、かっこ良かったです。



「007 スカイフォール」は、ボンド映画の面白さが凝縮

  • 2015.12.12 Saturday
  • 13:08




007シリーズ製作50周年記念の最新作「007 スカイフォール」。非常に評価が高いです。最初から、これまでのボンド映画の面白さを凝縮したようなアクションシーンが続きます。この手に汗握る場面を観るだけで、入場料の元が取れます。

衝撃のシーンに続いて、アデルが歌う主題歌「スカイフォール」が流れます。この曲が、往年の007を思わせる曲調で、しかも凝った映像美が楽しめます。たくさんの趣向を凝らしたオープニングタイトルを観てきましたが、私のベスト30に入るでしょう。

ストーリーは大胆です。イギリスの諜報機関MI6(エムアイ シックス)の存在意義に切り込むほか、ジェームス・ボンドの生い立ち、そのトラウマにまで迫ります。そして、敵は元MI6エージェントです。愛憎渦巻く人間ドラマとなっています。この辺が高く評価されているようです。

ただ、007シリーズでまで、ハリウッド映画のお約束である主人公のトラウマ劇など、観たくないという人もいるでしょう。元MI6エージェントの憎しみの表現が方向違いではないかと首をひねる人もいるでしょう。なんでも人間臭くすればいいという訳ではありませんから。賛否は分かれるかもしれません。

エンドロールの最後の最後にロケ地として「長崎県軍艦島」と漢字で登場するので、お見逃しなく。



映画「危険なメソッド」、キーラ・ナイトレイの壮絶な演技

  • 2015.12.12 Saturday
  • 12:13




「危険なメソッド」は、デヴィッド・クローネンバーグ監督作品です。クローネンバーグ監督の作品は、1969年の「ステレオ」以降、ほとんど観ています。特に「ザ・フライ」の表現力には打ちのめされました。身体の変容や特殊能力を描く作品から、次第に人間の心の奥底を覗き込むような内容に変わっていきました。しかし、めまいを起こしそうな危うい作風は、変わっていません。

「危険なメソッド」は、ユングとフロイト、患者ザビーナの3人を中心とした人間ドラマです。ヴィゴ・モーテンセン、マイケル・ファスベンダー、ヴァンサン・カッセルが、それぞれフロイト、ユング、グロスと3人の精神科医を演じます。さすがに渋くて、貫禄あります。

しかし、3人よりも、すごかったのはザビーナ役のキーラ・ナイトレイです。目をむき下あごを突き出し、顔の筋肉を震わせて恐怖、怒り、不安と激しく変化する感情を表現していました。熱演という表現すら、なまぬるいような壮絶な演技でした。

ザビーナは自分の欲望を相対化して、自らも精神科医を目指します。ユングは、やがて神経衰弱となります。精神を病んだ者が精神科医となり、精神科医が精神を病んで行きます。端正で気品のある映像美につつまれながら、心の奥底の闇へと連れて行かれます。



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