魔法の和菓子で宝石たちを再現

  • 2018.02.23 Friday
  • 11:44


 

 

「宝石の国」トリビュート琥珀糖を出版しました。
https://www.amazon.co.jp/dp/B079YHW722/

 

 

アニメ「宝石の国」について、様々なサイトを訪ねていました。ある日、「食べる宝石」という文字とともに、琥珀糖(こはくとう)のきらびやかな写真と出会いました。
琥珀糖の、あまりの美しさに、ため息が出ました。琥珀糖は、溶かした寒天に砂糖などの甘味を加えて固めた和菓子です。しかし、鉱物的な表面の質感を持っています。菓子を割った断面の煌めきは、お菓子とは思えない光を放っています。
水と寒天と砂糖だけで、できているとは、到底信じられませんでした。材料は、どこにでもある安価なものです。手順さえ間違えなければ、失敗する確率は低いと紹介されていました。
アニメ「宝石の国」の世界を表現するのに、ぴったりのお菓子です。固めると濁る寒天に砂糖を足すと、寒天は硬さを増して見事に透明になります。魔法のようです。乾燥させると表面に砂糖が膜をつくり、鉱物感が高まります。

食感も素晴らしい。表面の砂糖のカシカシ感と中の寒天のまろやかな食感の対比が絶妙です。表面に砂糖の膜ができるので、微生物の繁殖が抑えられ、賞味期間は1か月もあります。
食用の色素を混ぜ、「宝石の国」に登場する宝石たちを再現しました。時間とともに宝石たちが変化する姿を楽しみます。そして様々な宝石を身体の中に取り込む快感。宝石たちと一体化する日々を楽しんでいます。


電子書籍
http://www.amzn.to/18ddM5v



鉱物と微生物の饗宴「宝石の国」讃 Kindle版 を発行しました

  • 2017.12.22 Friday
  • 16:24

 

鉱物と微生物の饗宴「宝石の国」讃 Kindle版 を発行しました。
https://www.amazon.co.jp/dp/B078K8M3TB/

 

 

 

コミックの単行本よりも先に、単行本発売記念のプロモーションアニメでその存在を知った「宝石の国」。プロモーションアニメは、とても魅力的で、劇場版かTVアニメでの制作を心待ちにしていました。

2017年10月から放送されたTVアニメは、これまで観たことのない質感で、ディズニー・アニメとは別方向のCGアニメの新しい地平を切り開きました。

「宝石の国」と出会い、私の中で静かに眠っていた「鉱物愛」が、目を覚ましました。そして、鉱物と微生物の深い関係を描いていることにも、心ひかれました。「宝石の国」の世界は、私の心のとても深い琴線に触れました。

その煌めく魅力を解き明かすことは難しいですが、様々な切り口で、この斬新な作品の豊かな広がりを探っていきたいと思います。

荒唐無稽に見えながら、世界の秘密を鮮やかに照らし出しています。

【目次】

単行本発売記念のPV

TVアニメはCGの新地平

宝石とインクルージョン

鉱物と微生物の深い関係

「もやしもん」から「宝石の国」へ

ヘンリー・ダーカーと「宝石の国」

「火の鳥・未来編」と「宝石の国」

「かぐや姫の物語」と「宝石の国」

トランスヒューマンと「宝石の国」
 

電子書籍・鉱物と微生物の饗宴「宝石の国」讃 Kindle版「はじめに」案

  • 2017.12.21 Thursday
  • 22:34



近く刊行する予定の、電子書籍・鉱物と微生物の饗宴「宝石の国」讃 Kindle版の「はじめに」案です。

 

コミックの単行本よりも先に、単行本発売記念のプロモーションアニメでその存在を知った「宝石の国」。プロモーションアニメは、とても魅力的で、劇場版かTVアニメでも制作を心待ちにしていました。

 

2017年10月から放送されたTVアニメは、これまで観たことのない質感で、ディズニーアニメとは別方向のCGアニメの新しい地平を切り開きました。

 

「宝石の国」と出会い、私の中で静かに眠っていた「鉱物愛」が、目を覚ましました。そして、鉱物と微生物の深い関係を描いていることにも心ひかれました。「宝石の国」の世界は、私の心のとても深い琴線に触れました。

 

その煌めく魅力を解き明かすことは難しいですが、様々な切り口で、この斬新な作品の豊かな広がりを探っていきたいと思います。


電子書籍
http://www.amzn.to/18ddM5v




宝石とインクルージョン

  • 2017.12.21 Thursday
  • 18:33


 

 

「宝石の国」では、宝石たちを生み出した微小な生物を「インクルージョン」と呼んでいます。現在の宝石業界で「インクルージョン」が意味するのは、宝石が結晶体になる中で取りこんだ固体や液体や気体の内包物です。これがひびや曇りに見えます。

 

 

 

琥珀(こはく)に入った昆虫や水晶に入ったルチルの針状結晶も、「インクルージョン」と呼ばれます。

 

特定の産地で取れた鉱物にしか見られないものや、その鉱物だけにしか見られない特有のものがあります。天然か合成か、なんという宝石かを判別するひとつの目安になります。

 

「インクルージョン」が無いほど鑑定評価が上がるものもありますが、インクルージョンが入ることでの見た目の美しさが増したり希少性が増したりする場合は、同等の宝石よりも価値が上がる場合もあります。

 

「インクルージョン」という言葉は、「少数派である障害を持った子供が、同世代の障害を持たない仲間たちと隣同士で学習する」ことを目指す「インクルージョン教育」でも使われます。多様性の尊重です。

 

「インクルージョン」という表現は、なかなか奥深い広がりを持っています。


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「宝石の国」と出会い、私の中で眠っていた「鉱物愛」が目を覚ましました

  • 2017.12.20 Wednesday
  • 20:25


 

 

2013年7月、いつものようにYoutubeで投稿動画のチェックを行っていると、魅力的なPVアニメを見つけました。それが「宝石の国」との出会いでした。

 

 

 

単行本第1巻の発売を記念して、作者・市川春子氏が全面協力したフルアニメ作品。監督・コンテ・演出は大橋明代、キャラクターデザイン・作画監督・原画は加納綾が担当しました。

 

プロデュースは、講談社アフタヌーン編集部で、アニメ制作はスタジオ雲雀。市川氏が「漫画本編よりも面白そう」というほど、素晴らしい出来栄えでした。

 

コミック「宝石の国」には、人型の様々な宝石が登場しますが、宝石の擬人化ではありません。人間が死に絶えた遠い未来が舞台です。地上の生き物は、「微小生物」によって無機物になり、長い年月をかけて、宝石の体を持つ生き物が誕生します。

 

28人の宝石たちは、頻繁に来襲する月人(つきじん)との長い戦いを続けています。何人かは、すでに月に連れ去られていました。宝石を装飾品にしようとしていると言われています。

 

コミックの第1巻刊行にあわせて、本格的なアニメを制作・公開するというプロモーションは、なかなか斬新でした。繊細なアニメの質感によって、コミックの魅力がさらに増しました。

 

市川氏が、私と同じ札幌市在住であることも、親近感がわきました。作品には、冬の場面などで札幌・北海道での経験が生かされています。

 

20代のころ、世界が結晶化していくJ.G.バラードの「結晶世界」を夢中になって読みました。宇宙全体が、ゆっくりと水晶状の透明な結晶になっていきます。生と死の境界も結晶によってあいまいになっていきます。「宝石の国」の宝石たちが、再生可能で死なない設定につながっています。

 

ガストン・バシュラールが「大地と意志の夢想」などで展開した、石や鉱物を手掛かりにした詩的想像力の翼の広がりにも酔いました。

 

もちろん、澁澤龍彦の鉱物愛の評論にも触発され、さまざまな文献を読み漁りました。市川春子氏も、澁澤龍彦ファンのようです。

 

「宝石の国」に登場する主人公のフォスフォフィライトやアンタークチサイトという宝石は知りませんでした。

 

フォスフォフィライトは、透明感のあるミントグリーンで、吸い込まれるような美しさです。とてももろく衝撃に弱い。このもろさが、物語を引っ張るカギになっています。

 

1950年代末にはフォスフォフィライトが産出した鉱床は採掘が終わってしまいました。あまりにも希少なので、鉱物辞典に載っていない場合もあるほどです。まぼろしの石と呼ばれています。

 

アンタークチサイトは、1963年に日本の探検家が南極大陸で発見し、南極石とも呼ばれています。約25℃で液体化する鉱物です。室温で溶ける鉱物は、氷と自然水銀しかなく、非常に珍しいです。

 

「宝石の国」と出会うことで、私の中で眠っていた「鉱物愛」が目を覚ましました。


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ヒスイは人気が高い宝石で、秦の始皇帝の遺体もヒスイで覆われていました

  • 2015.12.05 Saturday
  • 08:41




ヒスイ(翡翠)は、深緑の半透明な宝石です。東洋(中国)、中南米(インカ文明)では、古くから人気が高い宝石であり、金以上に珍重されました。古くは玉(ぎょく)と呼ばれました。

不老不死、生命の再生をもたらす力を持つと言われ、古代では遺体全体を玉で覆いました。秦の始皇帝の遺体も玉で覆われていたといいます。中南米の王族の墓でも、同様の処置が行われていました。

中国では、ヒスイは他の宝石よりも価値が高く、古くから腕輪などの装飾品、器、精細な彫刻をほどこした置物などに加工し、利用してきました。ニュージーランドやメソアメリカでは、まじないの道具としても使われていました。

ヒスイは、非常に壊れにくいので先史時代には石器武器の材料でした。ヨーロッパでは、ヒスイで作られた石斧が出土しています。日本では、古代に糸魚川で産出する硬玉のヒスイが勾玉などの装飾品の材料とされていました。

世界で最初にヒスイを使ったのは、約5000年前の縄文前期末の人々です。世界最古のヒスイ大珠が、山梨県で見つかっています。

宝石に光の効果で猫の目のような模様がでるキャッツアイ

  • 2015.12.05 Saturday
  • 08:35




キャッツアイは、金緑石(クリソベリル)の変種で、猫睛石(びょうせいせき)ともいいます。宝石に光の効果で猫の目のような模様がでるので、正確には「クリソベリル・キャッツアイ」と呼びます。

クリソベリル・キャッツアイの産地は、ブラジルやスリランカが有名で、地色が蜂蜜色をしているカボションに、白い色のはっきりした目が出て、いわゆる「ミルクと蜂蜜効果」されるものが価値があるといわれています。

同じクリソベルに属するアレキサンドライトにも、稀にキャッツアイが表れることがあります。ただでさえ高価なアレキサンドライトにキャッツアイの価値が加わり、数ある宝石の中でも最も稀少価値があります。一級のダイアモンドにも劣らない価格で取引されます。

アレキサンドライトは産出量が少なく「宝石の王様」と呼ばれることがあります

  • 2015.12.05 Saturday
  • 08:34




アレキサンドライトは、1830年にロシア帝国ウラル山脈東側のトコワヤのエメラルド鉱山で発見されました。昼の太陽光下では青緑、夜の人工照明下では赤に色変化をおこす他の宝石には見られない性質が発見されました。

アレキサンドライトは、当時のロシア皇帝ニコライ1世に、献上されました。ロシア帝国皇帝に献上された日の4月29日が、皇太子アレクサンドル2世の12歳の誕生日だったため、 この宝石にアレキサンドライトという名前をつけました。

アレキサンドライトは、産出量が少なく、非常に高価で、発見されてからまだ日が浅いですが、ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドにこの石を加え、五大宝石として扱われたり「宝石の王様」と呼ばれることがあります。

アレキサンドライトは、3カラットより重く、青緑から鮮紅へと美しく色変化のおきる石は皆無に近く、たまに出てきても裸石の状態では他の宝石で考えられないような高値がつけられています。

サファイアは、インドの仏教徒の間で宝石の中でも特に尊重されました

  • 2015.12.05 Saturday
  • 08:32




サファイア(蒼玉)は、コランダムの変種で、ダイヤモンドに次ぐ硬度の赤色以外の色の宝石です。語源は「青色」を意味するラテン語です。かつて青色のサファイアは、油絵に使われる顔料でした。

サファイアは、一般に濃紺あるいは青紫色をしたものと考えられていますが、濃赤色以外のあらゆる色、例えば黄色や茶色、薄紅色などのものもサファイアと呼びます。青紫色以外のものは、ファンシーカラーサファイアです。

インドでは、ヒンズー教徒の間でサファイアは、不幸をもたらす不吉な石とされていました。しかし、インドの仏教徒の間では異なり、宝石の中でも特に尊重されました。

サファイアは、東洋から古代のヨーロッパに伝わりました。トラヤヌス帝(ローマ)の時代以降には、インドとの交易が盛んになり、サファイアについての信仰も、中世にかけて広まっていきました。

キリスト教では、中世から司教の叙任のしるしとしてサファイアなどを付けた指輪が与えられました。人差指に、はめました。マルボドゥスの「宝石誌」で、サファイアが指輪の宝石にふさわしいとされているのは、このためです。

1783年、ロメ・ド・リールというフランス人によって、ルビーとサファイアが同じ成分であることが分かりました。

エジプトでは、クレオパトラもエメラルドを愛用

  • 2015.12.05 Saturday
  • 08:00




エメラルドは、ベリル(緑柱石)の一種で、強い緑を帯びた宝石です。和名は、翠玉(すいぎょく)。内部に特有の傷が無数にあり、これが天然ものの標識ともなっています。明るく濃い緑色のものが最上級とされています。

エメラルドは、硬度自体はかなり硬いですが、内部に多数の傷があるため、衝撃に極端に弱いのが特徴です。指輪の台に取り付けただけで割れることもあり、職人泣かせの石と言われています。

エメラルドの語源はサンスクリット語で「緑色の石」を意味する「スマラカタ」。ラテン語で「スマラグダス」と変化し「スマラルダス」という俗語に変わります。さらに古フランス語で「エスメラルド」に変化し「エメラルド」になりました。

エメラルドの歴史は古いです。ギリシア時代、アリストテレスの弟子テオフラストスの「石について」に登場し、エジプトの紅海に近い砂漠で発見されたといいます。

プトレマイオス朝エジプトでは、クレオパトラもエメラルドを愛用し、シーザーは治療のためにたくさん集めたと伝えられています。このことから富と権力の象徴でもあったとされていました。

ローマ帝国時代のプリニウスの「博物誌」では、エメラルドはダイヤと真珠に次ぐ、第三位の宝石とされています。皇帝ネロはエメラルド製のモノクルを所有していたと伝えられています。ポンペイなどの遺跡からは、エメラルド製品がよく出土します。

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