劇場アニメ「海獣の子供」圧倒的な映像体験

  • 2019.06.25 Tuesday
  • 17:33



渡辺歩監督 が、五十嵐大介 が2006年から2011年にかけて連載したコミック「海獣の子供」をもとにアニメ化しました。五十嵐のコミックがアニメ化されるのは今回が初めてです。

 

「海獣の子供」は、中学生の少女・琉花が、ジュゴンに育てられた2人の少年と出会い、驚異の海洋体験をする物語です。

 

渡辺監督は、劇場版「ドラえもん」シリーズなどを監督してきました。制作は、アニメ表現にこだわることで有名なSTUDIO4°C。6年間かけて制作しました。音楽は、久石譲が、担当。映像世界をしっかりと支えています。

 

キャラクターデザインと総作画監督を、小西賢一が担当しています。小西賢一は「かぐや姫の物語」「千年女優」などの作画監督として有名です。彼も、こだわりの人です。

 

原作は緻密な書き込みが特徴ですが、アニメでも原作のタッチを生かした緻密な表現が追求されています。それに鮮やかな色彩と繊細な動きが加わり、これまで見たことのない質感のアニメ表現になっています。

 

あたらしいアニメ表現を、大きなスクリーンで見る幸せをかみしめました。

 

私は、2010年前後、連載途中の「海獣の子供」を読みました。その圧倒的な画力に驚きましたが、伝えようとしているテーマについては、心の奥には十分届いていませんんでした。

 

2014年に没入型のVRを体験し、人間の感覚について学びなおすことによって、「海獣の子供」のテーマは、心の奥にまで届くようになりました。

 

映画の中で「鯨の歌は、とても複雑な情報の波なんだ。鯨たちはもしかしたら、見た風景や感情をそのままの形で、伝え合って共有しているのかもしれない」という話が出てきます。


これは、今後VRが実現しようとしていることです。

 

研究者でアーテストの落合陽一さんは、「VRで人はイルカのようになる」と話しています。イルカは、超音波によって周囲の状況を3次元的に把握し、それを超音波によって仲間に伝えています。人間も、周囲の状況を3Dスキャンして、他人にデータとして送ったものをVR機器で再生することで、複数の人々が同じ体験を共有できるようになります。

 

「この世界に在るもののうち、僕ら人間に見えているものなんて、ほんの僅かしかない」人間と鯨などの世界は全く違い、人間には分からない世界が広がっているという「環世界」という考えが出てきます。

 

すべての動物はそれぞれに特有の知覚世界をもって生きています。環境を、独自の時間・空間として知覚しています。環世界は、もともとユクスキュルが提唱した生物学の概念です。


しかし生物学を超えて、哲学にも大きな影響を与えました。ユクスキュルは、カント哲学の影響を受けています。

 

五十嵐大介は、人間の認識の狭さを繰り返し描いています。環世界の意味の「ウムヴェルト」という題名の短編も書いています。

 

アニメでは、この世界のあり方について印象的な言葉が話されますが、それは言葉による比喩に過ぎません。時間も空間も、生も死も、人間の狭い認識に過ぎません。「誕生祭」と呼ばれている出来事も、人間がかってに意味づけをしているに過ぎないと思います。

 

このアニメはストーリーを追うとわからなくなります。考えるのではなく、感じる映画と言われます。たしかにストーリーを追うよりも圧倒的に美しい映像に溺れる作品です。ただ、考えること、感じることの限界を実感するアニメでもあると思います。

 

私は、VRを体験することで、この作品のテーマが、とても切実に感じられるようになりました。

 

2019年6月は、VR30周年なんです。1989年6月にバーチャルリアりティが体験できるゴーグル型の機器が発売されました。耳の機器がイヤフォンなので、目の機器ということで「アイフォン」と名付けられました。30年たって、VR機器が高性能で安価になりました。これから様々な分野で使われていきます。どんどん身近になります。


電子書籍
http://www.amzn.to/18ddM5v




calendar

S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      
<< June 2019 >>

selected entries

categories

archives

recent comment

recommend

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM